2016年11月07日

女子と愛国

佐波優子さんのドキュメンタリーです。自虐史観的な教育に反し、「愛国」に目覚めた女性たちを描いています。
 図書館でなんとなく手に取った一冊。いわゆる「ネット右翼」の行う思考をそのまま表したような本でした。あまりにもステレオタイプにすぎ、逆側の立場を持つ人が皮肉的に描いたといっても不思議には思わないほどです。
 論理的に戦後教育などを批判するわけではなく、それらが批判されるべきものという前提で、女性たちが「愛国」に目覚める様子が描かれており、その時点で、同じような思想を持つ人に読者層を絞っていることがわかります。その目覚める理屈も同じ立場からきわめて主観的に眺めているため、いまいちよく理解できませんでした。
 外を説得させるのではなく、内輪で共感を持ちながら読むような本なのだろうなー、と思いながら読了しました。

 このような思想を見ていると、「国」というものが何なのかよく考えないまま「愛国」を叫んでいる人が多いような気がします。また機会があれば国家や「愛国」についての私見を改めて載せるかもしれません。

評価:D
posted by みさと at 17:36| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月25日

神去なあなあ日常

 三浦しおんさんの小説です。

あらすじ
 平野勇気は高校卒業後フリーターで食いつないでいこう、と思っていた。しかし、担任の計らいで「緑の雇用制度」に勝手に応募され、三重県神去村で林業をすることとなる。はじめこそ慣れない山仕事に反発していた勇気だが、次第に神去村の美しい自然と林業の面白さに魅了され、個性あふれる村人たちにもなじんでゆく…。



 私は現在大学で林業のサークルに入っているのですが、それまでほとんど林業というものを意識したことがありませんでした。柏原の山村はいずれも農業が主要な産業で、林業に触れ合う機会がなかったのです。都市の若者にとって林業というのは縁遠い存在であることが多く(多摩の林業は有名ですから東京はそうでないかもしれませんが)、農業や漁業でなくそんな林業に焦点を置いたことがこの小説の良いところだと思います。
 軽快なタッチで勇気やヨキら村人たちの生活の様子が生き生きと描かれています。勇気の現代っ子らしさや神去村の古き良き田舎らしさは少しステレオタイプにすぎる感はありますが、ここまではっきり描かないと物語の躍動性は生まれなかったのだろうな、とも思います。
先月同じくステレオタイプな田舎像を描いた『夏美のホタル』をリアリティがない、と辛口に評価しましたが、こちらは林業をとりあげる過程で村人の生活が表出しており、リアリティに欠けていながらも、物語の裏にしっかりとしたものが敷かれている感じがして高評価できます。
また美しい感動譚ではなく、騒動劇的な形にしたのも、軽い文体がうまく生かされて良かったと思います。
続編『神去なあなあ夜話』も近く読んでみたいです。

 ちなみに、、「緑の雇用制度」もあって林業の担い手は若返ってるという統計データが出ていたり…。いや、林業って興味深いです。本当に。

評価:A
posted by みさと at 11:50| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月11日

改訂新版 文化人類学

 内堀基光さん、奥野克己さんらによる教科書です。私は将来日本の過疎集落や衰退都市の地域活性化を行いたいと思っているのですが、そこに文化の保全というものが深くかかわってくることに気づき、文化人類学についても少し学んでみようと思ってこの本を読みました。
 ある程度文化の消失を覚悟して新規開発を行うにしても、今ある集落・都市の文化を活かして町おこしをするにしても、その文化を持っている人たちがどうしたいかを考えねばなりません。「文化」というものそれ自体移り変わっていくものなので、それを保全するとはいかなることかということも大きな問題です。文化相対主義は一見わかりやすい思想ですが、そのありかたについてもかなり奥が深いと思います。(また機会があればこのあたりの自分の考えをまとめて改めてブログに載せるかもしれません。)
 文化人類学をかなり広い観点から概論した一冊です。教科書というものはどうも読みにくいもので読了に時間はかかりましたが、学ぶことも多く、時間をかけて読んだ価値はありました。

評価:B
posted by みさと at 17:55| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月01日

猫と針

 恩田陸さんの小説です。

あらすじ
 高校時代の友人の葬式の後、高校の映画研究会の同級生四人が集まった。久々に集まった面々は四方山話に花を咲かせるが…。




 「人はその場にいない人の話をする」というテーマのお話です。実際面と向かった相手の話題を出すのってやはりどこか抵抗がある感じはします。第三者について話す方が比較的遠慮なく、おしゃべりを楽しめるのでしょうね…。
 さて、この小説は恩田陸さんが書いた戯曲の脚本です。実は私はもともとこれを、恩田さんが戯曲の台本を書いたという小説で、戯曲自体が架空のものだと思っていました。キャストの女優さんの名前をグーグル検索して初めて劇団や戯曲が実在のものと知ったのです。さらに、劇中でさらに劇を作っているという描写があるので実世界と劇のあわいが曖昧になったような感じがします。噂話という主題の特性も虚構と現実の曖昧さに拍車をかけています。
 形だけを見れば恩田作品の中では異色ですが、中身や手法を見れば恩田ワールド炸裂ですね。

評価: B
posted by みさと at 23:35| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(恩田陸) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月29日

夏美のホタル

 森沢明夫さんの長編小説です。

あらすじ
 大学生の相羽慎吾は写真家を目指していたが、中々芽が出ずにいた。ある日恋人の河合夏美とともに写真を撮りに出かけた折、山奥の寒村にある「たけ屋」というよろず屋に立ち寄る。そこでは、老母子がひっそりと暮らしていた。彼らの温かさに触れ、親しくなった二人は、夏休みの間たけ屋の離れに住まわせてもらうことになるが…。




 表紙の有村架純さんの可愛さに惹かれたのは内緒です…笑(田舎を舞台にした本を読みたくなったというのもありますから(^^;;)
 先日紹介した『文豪山怪奇譚』の次に読んだのがこの本です。戦前の文豪連の作品を読んだ後でこの本を読んだからか、かなり文体が軽く感じられました。今の小説ってこれくらいの感じやったっけ?とも思いましたが、そんなことはないですよね…。しかし文体が軽いということは読みやすいということでもあるので、良悪裏表ですね。
 内容は住民の絆が強く、自然豊かで遊び場に溢れる典型的な「田舎」を舞台に温かな人間像が描かれています。王道ですと言えば王道ですが、やはりぐっとくるものがあります。
 ただ、二時間ドラマ的というか、リアリティに欠けるのと、文章から作者の意図があからさまにわかりすぎるのが少し気になった点です。
 少し否定気味のレビューになりましたが、決して面白くない作品ではなく、軽く読めて感動する作品ですので、また手に取られる機会があればぜひお読みください。

評価:C
posted by みさと at 19:14| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月26日

長い夏休み

 さて、大学は8月の頭から9月いっぱい夏休み。二ヶ月も授業がなくては堕落しそうだ…などと思っていましたが、サークル活動や自動車教習所などで意外と暇のない生活を送っています。
 林業サークルではお手伝い先の集落でのお祭り(松上げ)のお手伝いをいたしました。地元の若中が足りないということで毎年うちのサークルが手伝っているそうです。中々他所の町のお祭りのお手伝いをするという機会はないため、本当に貴重な体験となりました。
 8月の末日からはワンゲルの沢合宿。日帰り〜2泊3日の沢登りを天候と体力気力の許す限り実行するというものだったのですが、台風の影響で二つだけ行っておしまいになりました。しかし、その二つがこれまでの沢登りの中で一番楽しいものだったので満足でした。京大ワンゲルのホームページに写真が上がっているので、よかったら検索してご覧ください笑。ちなみに下界でも野宿を貫いたので一週間かけたのに宿泊費が一銭もかからないという格安旅行でした笑
 合宿終了後は東京の友人宅に3泊して関東を観光して回りました。中々行くことの出来ない土地を回ることができて楽しかったです。
 10月からはまた授業。授業でもサークルでも詰め込みすぎてしまうきらいのある自分ですが、キャパオーバーにならない程度に頑張っていくつもりです。
posted by みさと at 23:20| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月22日

文豪山怪奇譚 山の怪談名作選

 東雅夫さん編のアンソロジーです。収録作品は火野葦平『千軒岳にて』、田中貢太郎さん『山の怪』、岡本綺堂さん『くろん坊』、宮沢賢治さん『河原坊』、本堂平四郎さん『秋葉長光ーー虚空に嘲るもの』、菊地寛さん『百鬼夜行』、村山槐多さん『鉄の童子』、平山藘江さん『鈴鹿峠の雨』、泉鏡花さん『薬草取』、太宰治さん『魚服記』、中勘助さん『夢の日記から』、柳田國男さん『山人外伝資料』です。
 またまた読み終わってから感想を書かずに一ヶ月超経ってしまった…。怪奇小説が好き+登山が好きな自分なのですが、本屋さんでふとこの本が目につきました。これは買うしかない!ということで衝動買い。実際心底買ってよかったと思える一冊でした。
 山は美しく、恐ろしく、生活に密着していて、それでいて未知の領域が大きい場所。怪談、幻想小説の格好の舞台であります。近代の文豪連が書いたというだけあってどの作品も文章が素晴らしい。もちろん、幻想的で美しいもの、読者の好奇心をかきたてるもの、背筋のぞくりとするもの、心躍るもの、とその素晴らしさの質は作品それぞれに異なります。私は中でも岡本綺堂さん、泉鏡花さんの作品が気に入りました。またお二人の他の作品も読んでみたいと思いました。
 一作一作魅力を語っていきたいところですが、一月前の記憶を辿りながら書いてはうまく表現できない気がするので、近く再読してからにします。(その前に積ん読を片付けていかなくては…笑)
 本当にオススメな一冊です。ぜひ本屋さんで探してみてください!笑

評価:AA
posted by みさと at 22:31| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月16日

遠野物語

 柳田國男さんの作品です。言わずと知れた遠野物語。民俗学のバイブル的存在です。小話が無数に連ねられている形式で、7月以来隙間時間に少しずつ読んでいって、先週やっと読了しました。
 淡々と遠野の伝承や文化、民俗を綴っているだけなのに、遥か遠い遠野が不思議と近しい存在に感じてきます。全くの異国のはずなのにどこか郷愁めいたものを感じるのです。
 大学生中に遠野へ旅行してみたいなぁ、とふと思ったり。大学で専門にするわけではありませんが、地元含め、いろんな土地の民俗を調べるのもやってみたいですね。

評価:B
posted by みさと at 17:01| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月14日

死者は還らず 山岳遭難の現実

 丸山直樹さんのルポルタージュです。山岳遭難の状況からさらに踏み込んでその背景となる心理状況にまで踏み込んで、事故の原因を考えています。私自身、大学のワンゲルで沢登りをしているため、かなり身につまされる内容でした。自分は死ぬほどの危機一髪、といった経験はまだありませんが、少し滑落しかけたことや一歩間違えば20メートル下へ真っ逆さまというところを木の根をつかんでトラバースしたことはあります。ああいう時、やけに冷静なんです。死ぬ時は「ああ、死ぬんやな」ってあっさりと死ぬんだろうな、と思いました。
 一番ゾッとしたのが、遺族の章。自分が死ぬことは諦められたとしても、自分が死んだ後家族・親族や友人に迷惑をかけると思うと絶対に死にたくないと思います。

 このルポを読んでいて、筆者が事故の死者や同行者を散々にこき下ろしているのがやけに目につきました。読んでいる最中筆者の文章にかなり苛立ちながら読んでいました。後書きによると、筆者はできるだけ真の原因を追求したいとしています。その上で、自分の意見を率直に、あるいは読者にインパクトを与えるため計算して強く書いたとしています。このような態度を通して、読者に遭難について真剣に考えてもらいたいというのが筆者の意図だそうです。私は腹が立ちながらも、それならばその作戦は私に関しては成功しているな、と思いました。
 作者の(文章から伝わってくる)人格は到底好きにはなれませんが、登山者や登山者の家族はぜひ読むべきルポだと思います。

 読了後一月近く経っての感想なので、ただでさえ下手な文章が一層ひどくなってしまった気がします。感想がうまく伝わっていないかもしれませんが、何卒ご勘弁を。

評価: A
posted by みさと at 09:28| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月03日

大学生。

 ワンゲル部、林業サークルなどで土日をほぼ返上した学生生活をしていますが、今週は同じパーティの仲間が体調不良で急遽山行が中止になり、土日を比較的自由に使えることになりました。
 金曜日は沢に行く気満々で大学に登校した(金曜の晩出発予定でした)のですが、一時間目が始まる直前に山行中止の報。エネルギーのやり場に困り、ふと大学近くにある大文字山でも登ろうと思い立ちました。ワンゲルの一回生陣に声をかけたのですが、女子一人しか集まらず。4限後ボックスに向かっている最中に友達二人とあったので彼らにも声をかけ、四人で登ることになりました。
 一緒に登るワンゲルの子と歩荷(トレーニング用の重り)を持っていくかどうか相談。友達連中が変な反応をするので、不思議に思っていたところ、彼らが歩荷(ボッカ)を ウォッカ(водка)と勘違いしてたことが判明。自分としてはそれがかなりツボでした。
 山上では友達の持って来た麻雀に興じました。日も暮れていたので、ヘッドライトをつけて。ワンゲル勢二人はルールが分からなかったので、友人たちに教えてもらいました。途中夜景を見にカップルが登ってきました。折角のムードを馬鹿な大学生たちがぶち壊してしまって申し訳ない、と少しバツが悪かったです(あまり気にしてなかったようではありましたが…)。下山後大文字で麻雀をしたことを先輩に話すと、かなりびっくりされていました。ワンゲルで最も麻雀をしなさそうな二人が麻雀を覚えたからか、大文字で麻雀をするという発想が斬新だったからか…。
 詳しい内容は書きませんが、登山中も下山中も破天荒な友達にいろいろ楽しませてもらいました。いつものようなハードな山行も楽しいですが、ワイワイ話しながらのんびりハイキングするのも楽しいですね。
 下山後食事に行き、友達のうち一人の家にお泊まりさせてもらいました。定番の恋バナをしたり、祇園祭や夏休みの予定など話し合ったりといろいろ盛り上がりました。
 何だか、大学に入ってから初めていわゆる「大学生」なことをした気がします。勉強とサークルで全て過ぎ去ってゆく毎日の良い息抜きになりました。

 土曜日は勉強をしたりまた別の友達の家にお邪魔したり。日曜日は期日前投票に行き、ワンゲルでなかなか行けていなかった狂言のお稽古にも行きました。中々充実した週末を過ごせたと思います。
 ただ、この週末は仲間が体調不良だったから得られたものなのですよね…。彼女の体調が早く回復しますように祈るばかりです


追記
 毎度当ブログをご覧いただきありがとうございます。ただいま大学の授業の一環で自然科学・科学技術へのアンケート調査を行っております。ご協力いただけると嬉しいです。
回答フォーム↓
https://docs.google.com/forms/d/1woIRCWrjNRxrVzV_LghLaRsDo9U0TEuuTd2897Qlulg/viewform
posted by みさと at 23:24| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする