2011年12月29日

館島

 東川篤哉さんのユーモアミステリです。

あらすじ
 岡山で有名な天才建築家・十文字和臣が別荘で不審死してから半年が過ぎた。事件担当の刑事・相馬隆行は、親戚である和臣の妻・康子に呼ばれ、再び彼の別荘に行く事になった。別荘に着くと、事件の関係者が集められていた他、私立探偵の小早川沙樹がいた。関係者が揃った夜、新たに連続殺人が発生する…。




 裏表紙のあらすじを読んだ時、綾辻行人さんの「館シリーズ」を思い浮かべました(十文字家の別荘は「六角館」ですし)。あからさまなオマージュ、と思いながら読み始めてみると…内容は全然違いました。
 王道を行く本格ミステリかと思いきや、東川さんらしいユーモア・ミステリ。今回のは割と笑えました。トリックも悪くはないですし、東川さんの本では久しぶりの良作にあたりました。

評価:B
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2011年11月22日

放課後はミステリーとともに

 東川篤哉さんの短編集です。収録作品は『霧ケ峰涼の屈辱』『霧ケ峰涼の逆襲』『霧ケ峰涼と見えない毒』『霧ケ峰涼とエックスの悲劇』『霧ケ峰涼の放課後』『霧ケ峰涼の屋上密室』『霧ケ峰涼の絶叫』『霧ケ峰涼の二度目の屈辱』です。

あらすじ
『霧ケ峰涼の屈辱』 恋ケ窪にある鯉ケ窪学園に通う僕・霧ケ峰涼。僕が副部長を務める探偵部には顧問がいない。僕は生物の石崎先生に顧問を頼む為に生物教室があるE館に入った。ところが、ふと覗いてみた視聴覚資料室で泥棒に遭遇し、突き飛ばされてしまった。近くにいた人達とともに追いかけ外に逃がしてしまうが、外にいた人は誰も出てこなかった、と証言する。泥棒は何処に消えたのか…?

『霧ケ峰涼の逆襲』 僕は学校の帰り道、白い仔猫を見つけた。猫を追いかけて廃屋に入ったところ、若手俳優・安藤タケルのデート現場を押さえようとする、藤瀬正一という芸能カメラマンがいた。彼とともに彼の恋人と思しき水原真由美の家を見ていると、二人組の人物が彼女の家に入り、病気で倒れた水原真由美を運び出していった。だが、水原は…。

『霧ケ峰涼と見えない毒』 僕は友人の高林奈緒子に頼まれ、彼女の居候先の老人・門倉新之助の命を狙う者が誰か、捜査をする。捜査もむなしく、新之助は毒を飲まされて死にかけた。彼を狙ったのは誰なのか?

『霧ケ峰涼とエックスの悲劇』 僕たちは地学の池上冬子先生を中心に、流星雨の観察会を行う。そんな中、先生が空に謎の発光体を見つけ、UFOだと言って僕と二人で追いかけ始める。UFOを見失った地点で僕たちは、近くの畑に奇妙なものを見つけた。畑の中に首を絞められて倒れている女性がいるのだ。奇妙な事に、その畑には彼女以外の足跡は無かった…。

『霧ケ峰涼の放課後』 僕と奈緒子は体育倉庫から煙が出ているのを見つけ、火事か不良の煙草かと覗きに行く。体育倉庫の中には学園でも有名な不良・荒木田聡史がいた。彼と話していると先生がやってきて、彼が煙草を吸っているのではないか、と疑い始める。だが、結局煙草は見つからなかった。不思議な事に、彼が隠した場所を僕は覗いたのにそこには何も無かったのだ。彼は僕が見つけたのに黙っていたのだと勘違いし、僕にハンバーガーを奢る…。彼の煙草は何処に行ったのか?

『霧ケ峰涼の屋上密室』 僕は野田英子先生とともに校門を出ようとしていた。そんな時、上から女子生徒が降ってきたのだ。彼女は英子先生に直撃してしまった。屋上から落ちてきたと思われるが、そのとき屋上は密室状態になっていたのだ…。

『霧ケ峰涼の絶叫』 陸上部長・足立俊介が砂場で倒れているーー宮下綾乃から連絡を受けた。僕は彼を保健室に運ぶ為に砂場に行く。砂場で僕は奇妙なことに気づく。砂場には足立俊介と、発見者の綾乃ちゃんの足跡しか残されていないのだ…。

『霧ケ峰涼の二度目の屈辱』 E館の美術室で荒木田聡史が殴られた。殴った犯人が逃げたのを僕は追いかけたが、見失ってしまった。そのとき、E館はまたしても密室状態になっていたのだ!




 文句を言いながらも、なんやかんやで東川さんの本を読んでしまいます。東川さんには珍しく短編集です。この短編集の特徴は、密室ものが多いことですかね。八編中六編が密室ものです。
 『霧ケ峰涼の屈辱』はオーソドックスなタイプ。普通の本格ものにユーモアを加えた程度で、可もなく不可もなく、と言ったところです。
 『霧ケ峰涼の逆襲』は、物語に熱中するというよりも、カメラマンに見張られている俳優さんが可哀想でなりませんでした。
 『霧ケ峰涼と見えない毒』もオーソドックス。コメディとミステリが見事に調和していて、違和感がありませんでした。悪く言えば、新鮮みも薄いっていうことなんですけどね。
 『霧ケ峰涼とエックスの悲劇』この短編集の中では一番のおすすめ。最初に提示される謎に魅了されますし、トリックも独創的です。ギャグもこの本の中では一番。
 『霧ケ峰涼の放課後』謎は面白いけど、トリックがしょうもない…。ギャグはそれなりに。
 『霧ケ峰涼の屋上密室』事件にびっくりしましたが、これも真相は平凡ですな。
 『霧ケ峰涼の絶叫』人物のアクが強すぎて、物語が薄くなっている気がします。
 『霧ケ峰涼の二度目の屈辱』一話目と殆ど一緒。人物やトリックが変わっただけで、退屈でした。

評価:C
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2011年11月01日

学ばない探偵たちの学園

 東川篤哉さんの長編推理小説です。

あらすじ
 私立鯉ケ窪学園に転入してきたおれ・赤坂通は多摩川と八橋という先輩がいる探偵部に入部することとなった。そんな時分、密室と化した学校の保健室で、学園にいるアイドルを撮影しようとした盗撮カメラマンが殺されているのが見つかった。探偵部一同や刑事達が頭を捻らす中、第二の殺人が…。




 読むたびに東川篤哉さんの腕が鈍ってきているような気がします。初めて読んだ『交換殺人には向かない夜』には感銘を受けたのですが…。薬の様にギャグにも「耐性」がつくようです。
 トリックも偶然に頼り過ぎで、意外性に欠けます。
 しかし、何故でしょう? この間抜けな登場人物達に魅かれるのは。このシリーズをまた読みたいと思うのは。人間の心というのは不思議なものですねぇ。

評価:B
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2011年06月24日

ここに死体を捨てないでください!

 東川篤哉さんのユーモア・ミステリです。

あらすじ
 自宅に飛び来んできた見知らぬ女を殺して、現場から逃走してしまったー妹からそう連絡を受けた有坂香織は、廃品回収の青年、馬場鉄男を巻き込み、妹の部屋にある死体を処分しようとするが…。




 烏賊川市シリーズです。最初に読んだ『交換殺人には向かない夜』が非常に良かったためか、その後に読んだ東川作品がどれも見劣りして感じます。
 トリックは実行が難しいし、ギャグもそこまで面白く有りませんでしたが、試験勉強の気分転換にはなりました。最後がホラーチックなのですが、全体的にコミカルなのであまり怖くありませんでした。
 別の作家が同じ物語を書いたら、全然違うように思えたのかもしれません。

評価:C
posted by みさと at 21:56| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(東川篤哉) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月06日

密室に向かって撃て!

 東川篤哉さんの長編小説です。

あらすじ
 とある警察署のとある警官の不手際で、何者かによって密造拳銃が持ち逃げされてしまう。後日、その拳銃がホームレスや、名門・十乗寺家の娘の花婿候補の一人に向かって火を噴く。十乗寺家の花婿候補の調査を行っていた探偵・鵜飼杜夫は助手達と共に殺人事件の謎に挑む…。




 この小説も同氏の他の小説と同じくユーモアミステリです。これは、他の作品と比べて、ギャグの質はともかく、トリックの質が落ちているような気がします。いかにもミステリ、といった状況下で、登場人物達がアホな発言を連発します。このネタなら、もっとシリアスな小説にした方が良かったのでは…。
 比べるものが悪いのかもしれませんが、どうしても同じ作者の作品『交換殺人には向かない夜』と比べて見劣りしてしまいます。

評価:C
posted by みさと at 22:30| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(東川篤哉) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月04日

謎解きはディナーのあとで

 東川篤哉さんの推理小説です。短編集で、私のお勧めは四作目の『花嫁は密室の中でございます』、五作目の『二股にはお気をつけください』です。



 話題作ですが、短編なので深い謎は作れず、作家さんの腕が存分に発揮されていない気がします。とは言え、やはりギャグとミステリの混ざり具合がすばらしいです。 これは推理よりも、登場人物の掛け合いを楽しむものとして読む方が良いと思います。
 物語が軽い上に短編集なので、すぐ読み終えられると思います。学校や会社の休み時間や、病院の待ち合い室での暇つぶしにどうぞ。

評価:B
posted by みさと at 22:23| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書(東川篤哉) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月29日

交換殺人には向かない夜・もう誘拐なんてしない

 今日は東川篤哉さんの『交換殺人には向かない夜』『もう誘拐なんてしない』を紹介します。

 どちらも裏表紙の解説を読むと、本のジャンルが「ユーモアミステリ」であることが分かります。書き方は漫画っぽいのですが、それはそれで面白いです。内容そのものも面白く、思わず笑ってしまう箇所が沢山有ります。ミステリとしてもかなりの出来です。私はこの二つの作品を読んでユーモアミステリを見直しました。
 『交換殺人には向かない夜』はタイトル通り交換殺人の話です。叙述トリックも所々仕組まれています。様々な人物の視点から見ているからこそのトリックです。ギャグもギャグ漫画と同じような面白さがあり、かなり笑えます。

 『もう誘拐なんてしない』は狂言誘拐の話です。きちんと死体が出てきます。一番笑ったのは身代金要求の電話をかけるところですね。終盤は普通のミステリとあまり変わらない…と思いきや、やはり「笑い」があります。

『交換殺人には向かない夜』評価:A
『もう誘拐なんてしない』評価:B
posted by みさと at 22:55| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(東川篤哉) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする