2014年12月21日

犯罪ホロスコープU 三人の女神の問題

 法月綸太郎さんの短編集です。収録作品は『宿命の交わる城で』『三人の女神の問題』『オーキュロエの死』『錯乱のシランクス』『ガニュメデスの骸』『引き裂かれた双魚』です。

あらすじ(表題作)
 かつて一斉を風靡し、10年前に引退した三人組女性アイドルグループ・トライスター。トライスターが所属していた事務所の元社長が殺された。元ファンクラブの会長・安田は自身のブログに犯行声明をアップした後自殺した。捜査が進むうちに、トライスターメンバーの誰かがその黒幕ではないかという説が浮上したが……。




 探偵・法月綸太郎シリーズ。いずれも星座をモチーフにしたお話です。本格推理は久しぶりな気もします。本格推理って、数学の問題が解けたときみたいな快感がありますよね。それを苦労せずに味わえるのですから素敵なものです。
 特別ここがいい!!と強調したいところはありませんが、本当に上手くまとまったミステリでした。星座の見立てで流れがまとまっているのも飽きにくてGOOD。大人しいといえばそうかもしれません、変に奇をてらわないところが良かったです。

評価:B
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2013年08月01日

雪密室(法月綸太郎)

 法月綸太郎さんの長編推理小説です。

あらすじ
 雪に閉ざされた屋敷に招かれた法月警視。そこで密室殺人事件が起こる。彼の子供にして推理作家の法月綸太郎が事件の謎に迫る。法月綸太郎シリーズ第一作。




 最近サボりがちな本の感想でございます。
 法月綸太シリーズの第一弾です。再読ですが、以前の感想を見直すと、自分で読んでいて恥ずかしくなるほどえらそーで散々に書いていました。普通に面白かったよ? 三年前の自分なんて何を考えているのかわからないですね。
 ちなみに、上のあらすじも三年前に書いたものです。何じゃこりゃって思うほど幼い文章ですけど、そのまま流用します。
 特に飛び出るところはないけど、良質なミステリだと思います。少しカッコつけたような法月さんの作風、というか、新本格派は私は大好きです。法月さんって、一番本格派らしい新本格派だと思います。
 沢渡恭平君の、キャラクター性にどこか心魅かれる気がします。悪役だけど、どこか自分の中にこんなやつが潜んでいる気がするのです。保身家というか、そんな感じの……。

評価:B
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2013年04月17日

密閉教室(再)

 法月綸太郎さんの長編推理小説です。

あらすじ
 早朝、梶川笙子は7Rの教室で、高校生・中町圭介が死んでいるのを発見した。その教室は密室状態にあり、奇妙な事に48組の机と椅子が全て消えていたのだ。級友・工藤純也は森警部をはじめとする警察と協力し、事件の謎に挑むが……。



 久しぶりに読みました……二ヶ月前。感想待ちの本が既に山になっている状態です。まあ、のんびり感想をつもりです。
 この小説に出てくる「発情したモリアオガエルのように」って何だと思い図書館でモリアオガエルについて調べた記憶があります。そんで、つかの間、ある友人と二人の間での流行語になりました。我ながら何やってんだか。
 読んでいて思うのは、処女作の匂いがぷんぷんしてるなということです。とても若々しい感じの文章で、少し気取った感じが逆に親しみやすさを覚えました。
 はじめて読んだときはどんでん返しの連続にドキドキしながら読んだっけ。今は、結構な量のミステリを読んだせいか、悪い意味ですれてしまい、「へえ」ぐらいにしか思いませんでした。ちょっと寂しいですね。
 いろんな意味で、心地よく恥ずかしい青春の想い出(今も継続中のつもりだけど……)の本です。大人になって読んだらどう思うだろう、と少し気になります。皆さんも、読んでみて下さいね……。

評価:A
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2013年03月05日

二の悲劇

 法月綸太郎さんの長編推理小説です。

あらすじ
 君は春の町を歩いていた。全てが他人のはずだった町中、「二宮君」とあなたを呼ぶ声がする。声の方向を向くと、高校の同級生で気になっていた子「葛見百合子」がいた。君は百合子と連絡を取り合うようになる
 だが10月になった頃、君は百合子と名乗る女性からの奇妙な電話を受けた。そしてその直後見た新聞の殺人事件の記事に百合子の顔写真が載っているのだ!
 二人の純愛が一つの物語を紡ぎ上げる……。




 一応法月綸太郎シリーズ。相当の良作だと思います。
 二人称の小説は珍しいな、と思いながら読みましたが、最後になるほど、と。重大なトリックに関わっていたと分かって舌を巻きました。
 男女の純愛が生んだ悲劇。偶然に偶然が積み重なり、愛情・憎悪・嫉妬・後悔……。読んでいてほんとにもどかしい気分になり、冗談でなく悶々というか、ドキドキというか……そんな気持ちを感じます。
 法月綸太郎作品の中でも秀逸な作品だと思いますので、ぜひ読んでみて下さい!

評価:A
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2012年12月11日

一の悲劇

 法月綸太郎さんの長編推理小説です。

あらすじ
 冨沢茂が誘拐され、殺された。その子はわたし・山倉史郎が不倫の末つくった子だった。彼は私とともに過ごす子・隆の身代わりとなって殺されたのだ。
「あなたが茂を殺したのよ」
 そう絶叫する元不倫相手の冨沢路子。不倫のことは妻・和美に知られてはならない。妻と路子、どちらを慮れば……。そう思った私は……。




 法月探偵の悲劇シリーズ第一弾。予想はしていましたが、本当に救いのない話。法月さんでもさすがにそれはないだろう、と思っていた人が犯人でした。
 シチュエーションはそうではないものの、主人公の心情描写など非常にリアルに感じました。山倉の葛藤よ……彼に感情移入をして、自分までもどかしくも、緊張した、何とも言えない気分になりました。ああ、なんと言えば良いのかーー人間の心情は言葉で正確に表すことができるのでしょうか……。
 法月綸太郎シリーズは長い期間をかけて読んでいるので、少しぴんとこないことが多いのですが、この本は単体でも十二分に楽しめました。

評価:A
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2012年08月27日

法月綸太郎の新冒険

 法月綸太郎さんの短編集です。収録作品は『イントロダクション』『背信の交点ーーシザーズ・クロッシングーー』『世界の神秘を解く男』『身投げ女のブルース』『現場から生中継』『リターン・ザ・ギフト』です。

あらすじ
『イントロダクション』 作家・法月綸太郎は友人の図書館司書・沢田穂波とともに映画館に来た。そこで、まずゲームセンターに立ち寄ることとなるが……。
『背信の交点ーーシザーズ・クロッシングーー』 一泊二日の信州旅行の帰りだった。綸太郎と穂波は特急あずさに乗っていたが、前の席の男がいつの間にか死んでいることに気がついた……。
『世界の神秘を解く男』 心霊現象の取材記者や専門家達とともに綸太郎はサイ現象の「震源」となる少女の家にやって来た。オブザーバーとして参加した綸太郎だったが、思わぬ事件に巻き込まれることとなった……。
『身投げ女のブルース』 野暮用で外出していた葛城刑事。彼は用事の相手のもとへ行くまでの間に、女が飛び降り自殺をしようとしているところに出くわすが……。
『現場から生中継』 悲惨な連続幼児・児童殺人事件の犯人が捕まった。逮捕の報道現場には多くの野次馬が詰めかけ、カメラに向けてピースをしたりしていた。問題になったのは野次馬のうちの一人の若者であった。彼が殺人の容疑をかけられたのだ。生中継に映っているのが彼というのが確かならアリバイは成立するのだが……。
『リターン・ザ・ギフト』 ホステスが襲われた事件があった。事件の犯人はこれが交換殺人であることを告白したが……。




『背信の交点』は王道を貫く話でした。特に変わったところはありませんでしたが、普通のミステリとしてそこそこ楽しめました。
『世界の神秘を解く男』もそれなりに。最後の締めくくり方が心に残りました。
『身投げ女のブルース』はこの短編集の中のベストです。最後の展開は想像はついていましたが、それでもやはり心躍りました。犯人の「フラグ」とでも言うのでしょうか、典型的な犯人の特徴がありましたね。
『現場から生中継』も、パターンから犯人が推測できました。ハウダニットと見せかけて……。
『リターン・ザ・ギフト』これもパターンから正解。最後だけあって少し捻っていました。
 短編集で犯人が全て的中したのも初めてかも……。まあ、パターン化された展開だったので推理しなくても分かっただけなのですが。全体に奇抜なものはありませんでしたが、これぞ本格!というような王道を貫いてくれる作品集で面白かったです。小気味良いくらいでした。はじめて読む人に本格をおすすめするならこれを選ぶかもしれません。

評価:B
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2012年04月18日

誰彼

 法月綸太郎さんの長編推理小説です。

あらすじ
 死の予告状を送りつけられた汎エーテル教団教主で、メンターと崇められる甲斐辰朗。彼は刑事の父親を持つ推理作家・法月綸太郎に身の護衛を頼んで、儀式の為"塔"に閉じこもった。だが、予告通り辰朗は消え……。




  綸太郎が全能の探偵じゃないという所を魅力に感じました。警察と持ちつ持たれつで何度も間違えながら真実に近づいていく。読んでいてこれこそ推理小説だ、と思いました。
 特筆すべき個性というのはありませんでしたが、読んでいて飽きない、「優等生」の小説だと思います。

評価:B
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2012年01月13日

生首に聞いてみろ

 法月綸太郎さんの長編推理小説です。

あらすじ
 有名な彫刻家にしてエッセイスト・川島伊作が病死する直前、推理作家・法月綸太郎は伊作の娘・江知佳と伊作の弟・川島敦志と会っていた。そこから綸太郎も彼の死と関わることになる。彼が死んだ後、死ぬ直前に作り上げた、江知佳をモデルにした石膏像の首が切り取られているのに遺族達は気がついた。これは江知佳への殺人予告なのか、と皆は心配するが…。




 あっさりと謎が暴かれたと思ったらそれが別の謎を隠蔽したり、謎が解けたと思った事件がまた二転三転したり…。面白いほど物語の意味が変わっていきます。とにかく緻密なロジックに驚かされました。
 物語にも深みがあり、中々楽しめました。どちらかというとトリックに重きを置いた作品ですが、退屈することが全くありませんでした。
 難を言えば文章の地味さと淡白さですが、それを補ってあまりある論理・物語。本当に良い作品でした。

評価:A
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2011年11月15日

密閉教室

 法月綸太郎さんの長編推理小説です。

あらすじ
 早朝、梶川笙子は7Rの教室で、高校生・中町圭介が死んでいるのを発見した。その教室は密室状態にあり、奇妙な事に48組の机と椅子が全て消えていたのだ。級友・工藤純也は森警部をはじめとする警察と協力し、事件の謎に挑むが…。




 面白かったの一言に尽きます。
 インタルードの最後の方の、犯人を追いつめるシーンは非常に驚きました。同時に、痛快に思った事も覚えております。
 主人公だけが推理を振り回すわけではない、という点も好感。何段落ちになっているかは分かりませんが、一つの事件からよくもまあ、こんなに沢山の推理がでるものだ、と感心しました。
 本格ものだからといって、人物の感情描写も怠っていません。犬塚や吉沢を哀れに思った他、読んでいる最中、感情移入で涙が出そうにところも多々ありました。

評価:A
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2011年09月16日

法月綸太郎の冒険

 法月綸太郎さんの短編集です。収録作品は『死刑囚パズル』『黒衣の家』『カニバリズム小論』『切り裂き魔』『緑の扉は危険』『土曜日の本』『過ぎにし薔薇は……』

あらすじ
『死刑囚パズル』 死刑囚・有明省二が死刑執行の直前に毒殺された。刑務所は大事にしないため、警視・法月貞雄とその息子の作家・法月綸太郎に非公式調査を依頼する…。

『黒衣の家』 当麻規介の死の直後、彼の妻の佐代が毒殺された。彼女が殺された訳とは…?

『カニバリズム小論』 私の元に法月綸太郎が尋ねて来た。彼が話題に出したのは大久保信という共通の知人の話だった。大久保は恋人を殺し、その肉を喰らったそうだが…。

『切り裂き魔』 図書館の蔵書の、最初の1頁だけが切り裂かれているのだ。司書・沢田穂波は法月綸太郎と共に犯人を見つけ出し、理由を聞こうとする。

『緑の扉は危険』 図書館に本を寄贈すると言った人物が死亡した。彼は密室の中で死亡したため、自殺だと思われたが…。

『土曜日の本』 図書館利用者で書店員が、謎の男を目撃する。彼は毎週土曜日に50円玉20枚を両替して帰るそうだ。図書館に入り浸っている法月綸太郎はその話を聞き、興味を持つ。それは、彼が「50円玉20枚の謎」という企画に参加しているからであった…。

『過ぎにし薔薇は……』 装丁家の本間志織は失読症になってしまった。だが、彼女は毎日のように図書館を巡っている。その訳とは何か。法月綸太郎は謎に挑む。



 前半三作のホワイダニットは、どれも面白かったです。
 『黒衣の家』の真相は特に意外で、更に恐ろしかったです。これほど恐ろしい動機も珍しいでしょう。
 後半四作は連作集です。
 『土曜日の本』の蟻塚ヴァリスや時村薫などの、実在作家をもじった名前に笑いました。楽屋落ちと言った感は拭えませんが、中々楽しめました。

評価:B
posted by みさと at 22:24| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(法月綸太郎) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする