2019年04月07日

詩的思考のめざめ(阿部公彦)

 阿部公彦さんによる詩論です。詩に抵抗感のある人も含む、一般向けに書かれております。日本の現代詩への入門書とも捉えることはできますが、阿部さん自身はそれを否定しており、「名前をつける」「声が聞こえてくる」ことなど、日常にも詩的思考は潜んでいるということを強調しています。実際、ピンクレディーの「ペッパー警部」や宮沢賢治の『なめとこ山の熊』のように、詩以外の題材を取り上げたりも。阿部さん自身の専門は英米詩ではありますが、文学一般に対して多く著書を書かれており、その広がりが納得できます。
 前半は詩的思考がいかなるものであるか、日常生活との関わりなどを詩を含む幅広い文学作品を取り上げながら考察している一方で、後半は実際の詩がいかに振舞っているか実際の詩一つ一つを取り上げながら解説を加えています。文体としては平易かつふわっとしたもので、この本を読んで厳密に詩を読み解けるようになった自信はありませんが、なんとなく詩を味わう面白さが増した気がします。

 この本を読んだきっかけは、最近、京大詩人会の人との交流ができ、触発されて「詩」というものにひかれていることからでした。私が普段読むのは基本的に小説ばかりで、詩歌には馴染みが薄かったのですが、これからは積極的に読んでいきたいです。この本を読んで、いくつか気に入った作品もあったので、そこから広げていければと思います。金子光晴「おっとせい」、萩原朔太郎「地面の底の病気の顔」、伊藤比呂美の「きっと便器なんだろう」あたりが好きです。
posted by みさと at 20:41| 奈良 | Comment(0) | 読書(言語学/文学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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