2018年11月21日

兎の眼(灰谷健次郎)

 灰谷健次郎さんの小説です。ゴミ処理場のある街の小学校を舞台に繰り広げられる人間模様を描いた作品です。
 灰谷さんは、『笑いの影』という作品が被差別部落への差別意識が強いとして問題視されたということがありました。この『兎の眼』の「処理所」というものも、多少被差別性を帯びており、どう扱うかはともかく、灰谷さんにとって一つのテーマなのかもしれない、という風に思いました。(『笑いの影』がどのようにそれを扱っているのか読んでみたいのですが、残念ながら世間に出回っていないようです。。)
 この作品では処理所は「下町の温かみ」のような、好意的なイメージで描かれています。終盤の処理所移転関係の話では、公の一方的な通告に子供達の安全な通学する権利を訴えている様子が描かれています。この辺りの描かれ方に灰谷さんの思想、イデオロギーが透けて見えたり。
 社会的な側面ばかり書いてきましたが、物語の筋はわかりやすく明快で、とても生き生きとした児童文学らしい児童文学です。登場人物もそれぞれが個性的で魅力的であります。モヤモヤとした社会への批判意識を内在し、それを露わにしながらも、爽快でえぐみのない物語が作られているのがこの作品の魅力的なところだと思います。
posted by みさと at 17:52| 奈良 ☀| Comment(0) | 読書(児童文学作品) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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