2018年02月19日

「かわいい」論

 四方田犬彦さんの本です。世間で氾濫する「かわいい」について、様々な観点から考察している本です。何かあればすぐに「かわいい」という言葉が飛び出る今のご時世。
 私自身、何かを「かわいい」という感覚がかなり遅くまで(高校時代まで?)なく、割と今でも「こういうものが世間でかわいいと言われるのだろう」という念をどこかで持ちながら「(あれって)かわいいね」などと言っています。ぬいぐるみや動物、赤ちゃんをかわいいと思う気持ちは、どこか相対視する気持ちがあるものの生じて来ました。どうも冷めてはいるのですが、トトロをカバンに吊したり、部屋にぬいぐるみを少し置いたりしています。
 しかし、女性をかわいいという気持ちは今でもよくわからないよく友人達が女の子をさして「あの子可愛いよな」といいますが、僕は女の子がかわいいというのがわからないまま。適当にうなずいたり首をかしげたりしています。自分の恋人ですら、愛おしいとこそ思え、かわいいという感覚はあまりわからないです。

「かわいい」という感情には、未成熟、弱い、小さいものを慈しむという、ある意味上から下を見下す政治性を帯びているということが書かれていました。男性が女性に対して「かわいい」と思う気持ちには、身長差による眼差しが影響しているのだということもあると言います。私が女性に対して「かわいい」と思う気持ちがあまり生じないのは、女性に対して、対等か自分が下に位置するような関係を築いてきたからかもしれないな、と思ったり。

 「かわいい」がグロテスクと深く結びついているというのも、面白い指摘でした。赤ちゃんやぬいぐるみなどの特徴を考える。大きな目や小さな頭身。確かに、身体的な不均衡、逸脱は、可愛いの要素であります。しかし、これを認識することは、「かわいい」を祀る現代人にとって、とても残酷なことのような気がします。自分の中で納得はしますが、社会の上ではある意味タブーであると思います。

 「かわいい」について考えること。社会でみんなが信じていることの虚構(と言っては言い過ぎではありますが)を暴くことであります。もっと深い論を考えてみたいと同時に、それが恐ろしくもあります。
posted by みさと at 19:20| 奈良 | Comment(0) | 読書(他人文科学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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