2020年06月19日

地域再生の失敗学(飯田泰之編)

 多種多様な論客を呼び、「地域活性化」のあれこれを、経営、官民連携、グローバリゼーション、村落移転など様々な観点から、対談を中心に論じています。
 飯田さん自身はマクロ経済学の研究者ですが、他の論者は経営系の町おこしで有名な木下斉さん、地域経済学者の川崎一泰さん、経営学者の入山章栄さん、農村計画学者の林直樹さん、千葉市長の熊谷俊人さんです。
 内容は多岐にわたりますが、一言にすると、「公共も経済・経営の感覚をもて」というところに集約されるでしょうか。
 個人的に面白かったのは、グローバリゼーションのあり方を論じた入山さんの「フラット化しない地域経済」です。知識には言語化できる「形式知」と、言語化できない「暗黙知」というものがあります。現代情報化が進み、リモートワークなどで集積する「都市」はむこうになるのではないか、という論が大昔にあったと思うのですが、結局そうならなかったのは、インフォーマルな対面コミュニケーションの中で体得し、着想する「暗黙知」の存在が大きいのだということがあります。このため、グローバリゼーションは一様に進むわけではなく、暗黙知の集まる都市同士が結びつき、ギザギザ状に進むのです。これを入山さんは「スパイキーグローバリゼーション」と呼んでいます。学部一回のころの経済地理学の授業でもこの話、聞いたのを思い出しました。

 最近の地域活性化論の潮流を感じさせるのは、以前に木下さんの著作を読んだことがあるのが大きいかもしれませんが、それでも勉強になりました。感覚的にもわかりやすいし、理論の話もあって面白一冊でした。
posted by みさと at 16:14| 奈良 ☁| Comment(0) | 読書(政治/経済,社会科学系) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする