2020年02月28日

鉄道業界大研究(二宮護)

来年から就職活動をしなければならない、という義務感でキャリアサポートルームから借りた本。鉄道業界の現状、歴史、近年の動向、各社の特徴などをざっくりとまとめた本。
鉄道会社は沿線の開発や観光振興に関わっているため、歴史の項を面白く読みました。東急のもとが田園都市社とは知らなかった…。
最近高校の同期が就職して行くのを見て早く社会に出たい、という思いも強いのですが、卒論が楽しかったということもあって同時にアカデミアに残ってずっと研究を続けたい、という思いも同時に強くなってきて、どうしたものか、と考えています。。やっぱり博士課程に進学すると、高校や大学を出て新卒採用される、という社会の王道の生き方ができなくなりますし、今のところ修士卒で就職に傾いてはいますが、、、。
posted by みさと at 17:48| 奈良 ☁| Comment(0) | 読書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月11日

日本の民家(今和次郎)

民俗学においても建築学においても有名な本。日本国中の民家を採集し、間取りや構造、生活についての論考を書いております。
この本を読んだきっかけは院試勉強でラスキンやモリスの生活美の思想に触れたことがきっかけですが、今和次郎自身もラスキンを引用しており、影響下にあったことがわかります。
この本で面白いのは、建築を見る際、歴史や様式的な美といったものではなく(収録されている民家で文化財指定されているものは少ないそうです)、人々との生活を通じた関係性の中にその魅力を見出しているところであります。解説の藤森照信さんの言葉を借りると、美の発生以前の「人と物との初源の関係の面白さとせつなさ」(岩波文庫,p350)であります。
今さんの文章は記録的でありながらも叙情性、文学性を帯びており、民家やそこに生きる人々を見る彼のまなざしにも、どこか切なさを感じます。

自分が町を、村を歩く時、いかなるまなざしを持って歩いているでしょうか。造形そのものにも関心は行きますが、やはりそこが生活空間である以上、その風景に生活が表出している様にゆかしさを感じます。私は農村風景に対してその感情をとりわけ強く抱くきます。農地を見るときも、農地自体よりもそこに現れる耕作者の営みに魅力を感じます(とりわけ小さな蔬菜園が好きです)。
ここには、郊外化が進んだ地とはいえ、旧農村の香りの残る家に生まれた身としての(過去の)故郷への憧れ、郷愁みたいなものがあるかもしれません。今和次郎の眼差しと私の眼差しは時代の差もあってそれなりに懸隔があることと思いますが、それでもやっぱり今和次郎の影響が少なからずあるのは否定できません。
posted by みさと at 17:07| 奈良 ☀| Comment(0) | 読書(民俗学/人類学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月10日

箱庭の植物(端野カンナ)

2月19日の文学フリマでタイトルに惹かれて買った自費出版の本。作者はお花屋さんで働く方の執筆で、植物と文学の取り合わせが自分の好みにピッタリ来ました。花や植物への愛情が特によく伝わって来ましたし、あとがきで書かれているように、作者の人生観も強く感じました。
植物って、すごく時間と関わるものだと思います。季節によってその様子は変わっていきますし、世話をせずに放っておいたら枯れたり思わぬほど繁茂したり、吊るせばドライフラワーになったり。それもあって私は植物のある風景が好きなんだと感じます。
無骨ながらも、静かな優しさみたいなものが一貫して作品に流れて、気に入った作品でした。文学フリマは初めて行ったのですが、そこで買ったものを読んでいると、自分も創作意欲が湧いてきます。児童文学研究会の会誌に短編は定期的に投稿しているものの、まとまった分量を書いたことはありません。個人の本を作って、将来一回文フリに出てみたら楽しいだろうなぁ、とも感じます。
posted by みさと at 14:56| 奈良 ☀| Comment(0) | 読書(他国内文学作品) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大和路・信濃路(堀辰雄)

亡き曽祖父の蔵書から。収録は『狐の手套』『雉日記』『フローラとフォーナ』『木の十字架』『伊勢物語など』『姥捨記』『大和路』『信濃路』『雪の上の足跡』です。
 堀辰雄さんの小品集といった感じの一冊で、随筆が中心。大和の紀行文の研究をしていたことをきっかけに読みました。卒論佳境の気分転換に、と思いましたが卒論で読んで来た史料と傾向が似通っているためあまり気分転換にならなかったかも…。
この作品群の中では芥川や犀星、与謝野晶子といった現代の作家や『更科物語』『伊勢物語』の古典文学、プルーストなどの海外文学まで、幅広い文芸作品に関して言及しており、堀辰雄の世界観によく触れられる短編集であると思います。 単品としても楽しみますが、他の作品を読んでからだともっと楽しめただろうなぁ、と思いました。
『大和路』は作品を書くための取材に大和を訪れた時のエッセイ。法隆寺や唐招提寺といった大和の名刹を訪れているのみならず、秋篠、斑鳩、高畑の生活風景を鑑賞したり、河内高安や山城浄瑠璃寺まで足を伸ばしていたり、内容は広範・多様に及びます。とりわけ印象に残ったのは浄瑠璃寺の情景。山深い田園風景の中にある古刹を訪れる。十六七の寺の少女に案内されて、寂れた伽藍(「廃墟」とまで表現されています)をめぐる。少女の話す言葉は素朴な関西弁で、話の内容も素直に気の赴くまま。今は錆びれつつある古の名刹の浄土庭園の中、素朴な言葉で話す少女の鄙びた感じは、現代廃墟で見る退廃感
というよりも千年の時の流れにゆっくりと帰ってゆく様のあはれさ、ゆかしさみたいなものを感じます。
posted by みさと at 14:09| 奈良 ☀| Comment(0) | 読書(近代文学作品) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする