2019年08月26日

図説 西洋建築の歴史 美と空間の歴史(佐藤達生)

 西洋建築史の入門書。分量的には簡潔なものではありますが、よく整理されていてとてもわかりやすい一冊でした。
 西洋建築の様式をただ時代に沿って並べるのではなく、「柱」と「壁」の建築論的分析をもとに古典系、中世系の二流に分けてまとめているのがとてもわかりやすい。前者は古代のギリシア、ローマ建築を起点に、近世それらを典に復興したルネサンス、そこから宗教改革を背景に発展するバロック、さらに考古学の発展によってより正確にギリシャ建築の復興を試みた新古典主義に至る流れ、後者はローマ建築を学んだゲルマン人による初期キリスト教建築をもとに、修道院を中心に発展した重厚なロマネスク、そこからより軽快な昇向性のある神聖な空間を完成させたゴシック、ロマン主義を背景に中世の復興を試みたゴシック・リバイバルに至る流れであります。前者は重力を「支える」ものである「柱」を造形原理とし、後者は神聖なる空間を「囲う」「壁」を造形原理としています(構造自体は、ゴシックのフライングバットレスと控え壁に見られるようにしばしば入れ替わりますが)
 言われてみれば当然ではあるのですが、このような整理の仕方は中々新鮮で興味深かったです。教科書的ではありませんが簡潔にある程度要点も抑えられているため、勉強にちょうどよかったです。
posted by みさと at 17:23| 奈良 ☁| Comment(0) | 読書(建築/土木,工学系) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする