2018年06月20日

すぐわかる 日本の絵画

 守屋正彦さんの日本絵画入門書です。この間読んだ西洋絵画に次いで、日本絵画についても学んでみたいな、と思って簡単な入門書を借りました。
 ざっくりと歴史を概論することができました。水墨画が昔から何となく好きだったのですが、これを読んで、興味の世界が広がりました。狩野派の金雲を効果的に使うのも良いですし、やっぱり水墨画の長谷川等伯の松林図屏風が一番好きです。
 西洋絵画、日本絵画の歴史を概観したので、次は美学の入門書を読んでみたいなー、と。昨年中井正一さんの本を古本で買っているので、それを読もうと思います。
posted by みさと at 18:09| 奈良 ☔| Comment(0) | 読書(他人文科学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月19日

社会学のエッセンス

 友枝敏雄さん、竹沢尚一郎さん、正村俊之さん、坂本佳鶴恵さんによる社会学の入門書です。社会学の基本的な考え方について広く浅く学ぶことができます。
 社会学は、直接学んだことはほとんどありませんが、風景論、場所論、村落地理学を始め、様々な本を読んだり地理学の勉強をしているうちにしばしば出てくる学問でした。部分的に触れる機会は多いのですが、中々「社会学」それ自体の姿を知らないので、この入門書を手に取りました。

 社会構築主義に、ジェンダー、規範、秩序、国民国家、公共圏……。ある程度知っている内容は多いですが、それ自体を対象物として書いた本を読んだことがなかったので、勉強になりました。
 秩序と自由を両立させるためには、という話が目から鱗で面白かったです。そのためには、不確実性の大きい社会で、それを不確実性を大きく減らすことが必要、すなわち、多くの選択肢を用意しておきながらそのいずれかを選択することが必要ということです。このことについて、この本ではエントロピーの概念を持ち出して説明しています。

 とは言え、一冊に16個の話題を詰め込んでいるため、一つ一つの内容は浅いもの。それに、16個では社会学の全容を掴めたとはとても言えません。もっと社会学について、各論的な本を読んでいきたいと思います。
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2018年06月18日

愛するということ

 エーリッヒ・フロムの本です。フロムは『自由からの逃走』で有名な精神分析の学者さんです。この本では、タイトル通り、「愛」について社会心理学・精神分析学の立場から考察しています。
 全く畑違いの専門書なのですが、ワンゲルの後輩に勧められて読み始めました。基盤となる知識がないため、浅い理解に止まっているのではないか、という気がしてもどかしい思いもありますが、それでもかなり深く考えさせられるところもたくさんありました。

 まず、「愛」を対象の問題ではなく、愛するということは行為であり、能力であるという主張に引き込まれました。私たちは日常の会話で愛について語るとき、「良い人おれへん?」みたいな風に、対象に重きをおき、「モテるためにはどうしたら良いか」という風に愛するのではなく愛されようとする努力をしています。
 人は孤立意識から生じる不安を解消するために他者と合一化しようとし、そこにはお祭りや集団同調など様々な手段を用いますが、その最適な手段として愛が存在すると述べています。
 成熟した愛とは、自らの全体性や個性を維持したまま、能動的に他者と中心同士でつながろうとするもの。誰かに庇護を求めるこころや、支配欲のようなものが全く自分にないとは言えません。実際に人に甘えたりすることは苦手ですが、前者が自分の心の奥に存在しているのは度々感じております。
 また、愛とは能動的に人に与えることであるということも述べています。与えるものとは、自らの生命、力、ぬくもりなどあらゆるものになります。教師と生徒の関係を考えれば、結果的に互いに与え合うということになりますが、見返りを求めるのではなく。これもかなり難しいことだと思います。わたしはどうも吝嗇な気があるのか、全くためらいもなく、もてるものを与えることができるかというと、全くできている気がしません。

 逆説論理学についても、あまり理解が及んでいない気はしますが、深く心に残りました。逆説論理学は矛盾しているように見える論理のことで、「無知の知」や「忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず」のような表現のことです。
 人の心は矛盾においてしか知覚できず、物事は思考ではなく行為あってこそ知ることができる。このことは私のいつも考えていることによく当て合致していて、ああ、と思いました。私は誰かについて「あなた(あいつ)はこういう人だ」ということができませんし、人がそう言っているのを聞くと違和感や苛立ちを覚えたりします。誰かの行為に対して評価をするーー例えば、人の行動を見て「優しいね」などということはできますが、その人自身について「優しいね」と評価をすることはできません。

 現代資本主義への痛烈な批判も読みどころの一つだと思います。市場経済の世の中では需要が全ての価値であり、愛に自らの交換価値を考えているというのは、鋭く心に刺さりました。集団同調で合一願望を満たしていたり、神への愛は都合の良い時だけ心に抱き、信仰を世俗的成功の手段にしている。心当たりがたくさんあり、自分の心の持ち方をかなり問い直させられます。

 終盤に愛の修練に瞑想や呼吸法のようなことが出てきて、禅っぽいな、と思っていると、フロムは鈴木大拙と交流があるそうで。なるほど、と思いました。

 しかし、この本を読んでいて、男性性(侵入)、女性性(受容)、父性(規範)、母性(無償の愛)など、ジェンダー的に今の感覚と合わないところも多いな、と思いました。この本が書かれたのは1956年ですから、現代的な感覚が普及し始めるちょうどその時代だったのが読んでいてよくわかりました。
 フロムの話は論理としてなるほど、となりましたが、ジェンダーのあり方が変わればどうなるのだろう(フロムの立場に立つなら精神症?)とか、文化の差異を見ず(進歩史観的)、全ての社会でこのようなことが成り立つのか、と思ったりしました。割とジェンダーに縛られない私の志向もあってか、自分の体感的にも、しっくりきませんでした。
 これを読んで、自分が本当に現代っ子なんだなー、と実感したり…。しかし、ジェンダー論に詳しいわけでもないので、また見識を深めたいと思います。

 異性への愛がなぜ生じるのか、ということもあまり触れられてなくて気になりました。両性の合一欲求ということは書かれていましたが、なぜそれが存在するのかが述べられていませんでした。

 西洋思想の名著を読むことは多分初めて?で、かなり考えさせられるところの多い一冊でした。昨日友人たちと読書会を開き、議論したりもしました。
 フロイトに始まる精神分析学は、精神症という医学的なものを対象にしていながら、理論先行にすぎて変な学問だな、と思う一方で、かなり魅力を感じます。もう少しこの辺の分野を色々勉強してみたいです。
posted by みさと at 14:56| 奈良 ☁| Comment(0) | 読書(他人文科学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月06日

人間失格 グッド・バイ 他一編

 太宰治さんの短編集です。他一編というのは、『如是我聞』です。
 太宰さんの本は恥ずかしながらあまり読んだことがなく、多分『走れメロス』以外では初めてな気がします。
 『人間失格』の主人公・葉蔵は周囲の人が考えているのかを理解できず、得体の知れない他者に怯えるあまり、道化に走って自らを守っています。
 周囲の考えていることがわからず道化に走る、という気持ちはわかる気がします。私自身も、彼ほどではありませんが、人の気持ちがわからなかったり、「こういうときは一般的にこう感じるものだ」と相対化してしか把握できなかったりします。女の子を指差して友人が「あの娘、可愛いくね?」と聞いてきた時とか。私は人間を「可愛い」と思う気持ちが理解できないのですが、「そうやね」などと答えます。最近では慣れてきてそうでもありませんが、これは可愛いやかっこいいを表す「記号」であると強く意識しながら、キーホルダーやTシャツを買ったりしています。

 葉蔵は人間に怯えてはいますが、無垢な妻を愛したり、アンダーグラウンドの世界に生きる人には共感を持ち、つるんだりしていたことを考えるとどこかで人間を求めていたような、そんな気がします。


 『グッド・バイ』は未完の絶筆。最後には、自らの妻にグッド・バイされるという皮肉な結末で終わるという構想であったそうです。『人間失格』と比べ、かなり軽妙に物語が進んでいきます。

 『如是我聞』は、議論としては粗雑なものですが、太宰の思いが、文章を通じて熱いほどにまで感じられるエッセイ。肩書きばかりを重視する世間を痛烈に批判しています。

 どの作品にも世間への批判・皮肉が込められた一冊。惹きこまれて一気に読んでしまいました。
posted by みさと at 18:06| 奈良 ☔| Comment(0) | 読書(近代文学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月05日

知識ゼロからの西洋絵画入門

 山田五郎さんの本です。有名な西洋絵画と画家について、歴史を踏まえながら解説している入門書です。
 私はオギュスタン・ベルクなどの風景論の本をよく読むのですが、最近そこでしばしば取り上げられる絵画についても知りたいと思うようになってきました。絵画はその時代の空間認識がよく表れる媒体の一つであるからです。
 恥ずかしながらこれまで美術館に行くことも少なく、絵画についての教養が皆無でして、簡単な入門書から学んで行こう、と思いこの本を図書館で借りました。

 ルネサンスから現代に至るまで、絵画の歴史の大まかな流れが理解できましたし、実際絵を見ていてとても面白かったです。なんとなく見たことある絵画もいろいろ意味合いを持って感じられるようになってきます。
 個人的には、印象主義が一番好きで、モネの「日傘をさす女」がとても気に入りました。
 ミレーの「晩鐘」、モローの「出現」なども好きです。マニエリスムの不思議な魅力も、、、。これをもとに、いろいろな画家さんについて掘り下げていきたいです。
 専門書でもない一般書を借りるのが久しぶりで、借りるのに少し恥ずかしさを感じてしまったり。。中高時代、漫画を読んでいるのを人に見られるのが少し嫌だったみたいな感じです。とはいえ、知識ゼロの私には中々学ぶことが多くて、本当に為になりました。
posted by みさと at 16:27| 奈良 ☁| Comment(0) | 読書(他人文科学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする