2017年04月20日

コンビニ人間

 村田沙耶香さんの小説です。

あらすじ
 古倉恵子は就職もせず、コンビニバイトを続けて18年になる。36歳で、未婚。子供のころから「普通でない」と言われた彼女が「普通」として生きられるのがコンビニバイトという形であった。しかし、彼女が「普通のコンビニ店員」として18年も働き続けるのは「普通でない」と周囲の人は思っており…。




 去年だったか、芥川賞を受賞した作品ですね。「普通であれ」という社会の要請は確かにあります。思春期などはそれをあえて逸脱しようとしたり、それを超えると、その要請に従おうとしたりするものであります。
私は幼いころ、その要請に恐らく気づかずに無視し続け、恵子さんのように「変わった子」と思われたり、中学時代はその世代の子供にありがちなようにあえて抜け出そうとしたり(いわゆる中二病ですね)…。一転中学の終わりごろからは普通であろうとあがいていた記憶があります。一度立ち位置が成立した後普通に戻ろうとするのは極めて難しいものでしたが。特に中高一貫校だったので、心理の変化に応じて立場を変えるのが容易ではありませんでした。
 今ではよくも悪くも人の望む「普通の」大学生に成り下がっている自分に気づきます。それがいいのか悪いのか…真実の自分は「普通」なのか、そうでないのか…。しかし、人はそれ単独で存在できるというわけではなく、他者や世間とのかかわりの中で自己というものを形成しているということを考えると、やはり「普通の」今の自分が自分であるのでしょう。恵子も「普通」から逸脱しているとはいえ、周囲の人の影響を受けながら彼女の「普通」でない自己を形成している。それって何か皮肉な気がします。
 「普通」というものを深く考えさせる良い作品でした。

評価:A
posted by みさと at 15:27| 奈良 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

都市・集まって住む形

 鳴海邦碩さんの本です。世界中のさまざまな都市をとりあげてそ形成の過程や集住における知恵を紹介しています。
風土が違えば住まいのあり方も全然違うのかと思いきや、意外と同様の形式の住まいがあることに驚きました(台湾の亭仔客と日本の雁木など…)。
 以前読んだ本にもありましたが、各戸を繋ぐ空間(アパートの共用スペースや、路地空間など)の重要性を強く思います。植木鉢などの表出があれば見た目にうるおいが生じるだけでなく、近所同士でのつながりも増え、人の目も増えるため防犯効果も上がります。そして、ブラジリアがよい逆例となっているように、ある程度雑然としているほうが人間的な、にぎわいのある空間となっているというのも確かだと思います。
近年では画一的、没地方性な、そして隣家とかかわりを持たない家がたくさん生まれていますが、古い家の、そしてそれが構成する町や村のあり方を見つめなおすことが必要なのではないでしょうか。

評価:B
posted by みさと at 10:36| 奈良 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする