2016年12月12日

山怪 山人が語る不思議な話

 田中康弘さんの本です。山における不思議な話、怖い話をたくさん蒐集しています。何となく遠野物語を髣髴とさせるのですが、筆者の本職がらマタギにまつわるお話がかなりの割合で、内容も狐関係の話がやけに多い印象を受けました。あとがきで書かれていた蒐集方法を読むと、ああなるほど。作者はインタビューをするとき、呼び水としてここまでに蒐集した話を語ってみせているらしいです。
 内容に偏りがあるとはいったものの、やっぱり個々の内容は面白いです。そう遠くない昔の、名前の見える人の話だと思うと、かなりドキドキします。自分もどこかで不思議な体験に遭ってみたい気もしてきます(怖いから遭いたくないという思いもありますが…笑)。
なんだかんだ不思議な民話や怪談が好きな人にとっては十二分に楽しめる一冊だと思います。

評価:B
posted by みさと at 18:18| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

少女

 湊かなえさんのミステリ小説です。

あらすじ
 親友の自殺体を目撃した。転校生・紫織の告白に、由紀と敦子、二人の少女は衝撃を受けた。由紀はそれに自慢めいたものを感じ自分はそれ以上のものを見たいと思って、敦子は死体を見たら死を悟ることができるのではないかと思って、それぞれ人の死を目撃したいと願うようになる。そのために由紀は小児科病棟、敦子は老人ホームへとボランティアに行くことにしたが…。




 『告白』『しらゆき姫殺人事件』以来に読んだ湊かなえさん作品。最近映画化されたらしいのですが、それを今日人に教えられて知るという…。高三以降テレビを全然見なくなっているので、世間から取り残されつつあるような気がします(苦笑)。
 さて、ミステリを読んだのがかなり久しぶり(大学生になって初!)でしたが、この小説は本当に精巧に構成されていると思いました。あらゆる記述が伏線となっていて、次々と話がつながっていく様子が気持ちの良いくらい見事でした。
 登場人物群。臆病で人の目を気にしながら生きている敦子。達観して(したつもりになっていて)、他者を下に見ている由紀。彼女らの個性の強さは現実の人間と乖離しているように見えますが、実際多くの人が持っている性質をデフォルメして描いているように思えます。作中に描かれている彼女たちそれぞれの恐怖感、優越感、劣等感などの感情や文章から感じられる視野の狭さ。人間、特に思春期の思考を痛烈に描いていると思います。自分の中高時代の思考を思い出しても、彼女らに重なるところが多く、胸の中がじんじんとするようでした。
 ハッピーエンドで終わるならば中高生の妹や後輩に勧めたいと思っていたのですが、まあこの内容なので。思春期真っ盛りでも、それを過ぎていても、ある程度精神的に落ち着いているときに読んだほうが楽しめるだろうと思います。

評価:A
posted by みさと at 16:49| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする