2015年02月27日

押入れのちよ

 荻原浩さんのホラー中心の短編集です。収録作品は『お母さまのロシアスープ』『コール』『押入れのちよ』『老猫』『殺意のレシピ』『介護の鬼』『予期せぬ訪問者』『木下の闇』『しんちゃんの自転車』です。

あらすじ
 恵太は現在失業中だが、格安で条件のいいアパートを求めることができた。しかし、そこは奇妙な隣人たちに加え、押入れから明治30年生まれの14歳の女の子の幽霊が出る物件であった。恵太は初め、戸惑っていたが、次第に幽霊に情を覚えるようになり始めた…(表題作)。



今回紹介するのは妹に紹介してもらった一冊です。だいぶ熱心に勧めてくれただけあって、良い作品ばかりでした。軽い文体でさくっと読めるのも魅力です。
『お母さまのロシアスープ』は、ミステリ好きな人なら途中くらいから仕掛けがわかると思います。自分は読み始めた当初、人間じゃなくて動物か何かかな、と思っており、途中で異形の何かなんやろな、と気付きました。枯葉剤とシャム双生児に結びついたときは、ああ成る程と手を打ちました。(←ネタバレ・反転)それにしても、こういうのって結構後味重たいですね……。それも含めて、こういう話の魅力です。
『老猫』は、ちょっとポーの『黒猫』を意識してるのかな、と思いました。どこかグロテスクさや官能性を感じさせるところとか、特にそうですね……。じわじわと汚染するように染み込んでくる恐怖がなんとも言えません。
『殺意のレシピ』『予期せぬ訪問者』の狂い具合も秀逸です。
『介護の鬼』、初めに視点となる女を胸糞悪いな、と思いながら読み始めたら…意外な展開で、かなりゾッとしました。かなり恐ろしいと同時にどこか懲悪めいていてスッキリする面もあります。
『木下闇』はホラーミステリの優等生的作品。こういう雰囲気の推理小説大好きです。
『コール』『押入れのちよ』『しんちゃんの自転車』の三つは、所謂ジェントルゴーストストーリー。有栖川有栖さんの『赤い月、廃駅の上に』を読んで以来、こういう物語が大好きです。心温まり、ちょっと切なくなる。そんな感じが大好きです。いずれもミステリの要素が含まれているのもポイントですね。有栖川さんもそうですが、ミステリ作家とジェントルゴーストストーリーって凄くマッチしますよね。

評価: A
posted by みさと at 23:33| 奈良 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月16日

ナショナリズムの克服

 姜尚中さんと森巣博さんの対談です。最近ナショナリズムというものに興味をもっていろいろ考えたりしています。結構、固定観念で自分自身を縛って、右なら右、左なら左のステレオタイプな思考に陥ってしまう人が多いイメージがあるのですが、この本では流されない自分の意見を述べているのだな、と思いました。当たり前のことのはずなのですが、少し衝撃を受けました。
 結構いろいろ参考になる意見もありましたが……森巣さんの下ネタはどうにかならなかったものか(~_~;)

評価:B
posted by みさと at 18:14| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月15日

子どもたちは夜と遊ぶ(上)(下)

 辻村深月さんの長編推理小説です。

あらすじ
 留学への道を開く論文コンクール。D大の狐塚孝太か木村浅葱が入賞すると思われていたが、賞を勝ち取ったのは「i」を名乗る謎の人物であった。浅葱はその正体を掴もうとし、ネットを探しているうちに、「i」は長いこと離れ離れになっている自分の兄ではないかと思い当たるが……。




 二巻に渡る大長編だけあって、読後胸がいっぱいいっぱいになりました。叙述トリック、意外な犯人、見立て殺人ん…推理小説をよく読む人なら予想しえて、食傷気味のものかもしれませんが、辻村さんの魅力は、ただの本格ミステリに終わりません。
 浅葱の視点になって、だんだんと心が追い詰められていく様がよく描かれていて、自分まで辛くなってきます。浅葱も、そして狐塚、月子も強いようでいて弱い、等身大の人間なのです。
 何度も書いたかもしれませんが、辻村さんは、非日常の舞台の中に映る等身大の(日常の)人間を描いてらっしゃいます。そして、どんなに辛い話でも大概少しの温かみがはいるのです(この作品で言えばエピローグですね)。
 他の作品とのリンクも楽しめます。恭司と孝太は昔読んだ別の小説にも出てきたので、「あ!」と思いました。
 また時間のある方は、「本日は大安なり」などと一緒に読んでみてください。ウィキペディアにリンクのまとめもあるので、ぜひご参考に。
評価:B
posted by みさと at 00:02| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(辻村深月) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする