2011年11月28日

乱鴉の島

 有栖川有栖さんの長編推理小説です。

あらすじ
 民宿のある鳥島と間違えて、一件しか人の住んでいる家が無い島・烏島に来てしまった推理作家の私・有栖川有栖と友人の臨床犯罪学者・火村英生。船は月曜日まで無く、三日間滞在することになった。島にいるのは高名な文学者・海老原瞬とその心酔者、クローンの研究で名を鳴らした産科医・藤井継介であった。彼らは何か秘密を隠しているようだが…?
 島で過ごしているうちに、ヘリコプターからオタク趣味の大会社社長・初芝真路が降ってきた。初芝と藤井達が険悪な雰囲気を醸し出す中、島の管理人・木崎信司が殺される…。




 作家アリスシリーズの長編です。
 さて、先週読んだ『孤島パズル』と同じく、孤島ものです。ですが、内容は対照的とも言える程違っています。
 あちらよりも物語の深みは増しましたが、謎解きの質は落ちましたね。島の集いの秘密ですが、意外性の欠片もありません。しかし、動機は意味深長で、心打たれました。
 キャラクターには、ちょっと不満があります。まず島を間違えるなんて本当に抜けていますなあ。いや、謎解きよりも、島の間違いが明かされた時の方が驚きました。更に、アリスと火村の独善性。島の人々の心なんて、有って無きが物の如くに振る舞っています。もし、作家アリスシリーズで最初にこれを読んでいたら、おそらく読むのを止めていたと思います。


評価:B
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2011年11月26日

螺旋階段のアリス

 加納朋子さんの短編集です。収録作品は『螺旋階段のアリス』『裏窓のアリス』『中庭のアリス』『地下室のアリス』『最上階のアリス』『子供部屋のアリス』『アリスのいない部屋』です。

あらすじ
『螺旋階段のアリス』 仁木順平は長年勤めていた会社を辞め、探偵事務所を開いた。会社の元部下の協力で、大量に広告を刷って配った。広告にひかれてやってきたのは、たった一人の依頼人と、探偵志願という美少女・市村安梨沙。仁木は初めての依頼ーー何度も離婚・結婚を繰り返しているが同居中の夫が遺した、貸し金庫の鍵を探して欲しいという内容だーーを安梨沙の手を借りて解決する。

『裏窓のアリス』 オレンジのスーツに身を包んだ社長婦人が「自分が浮気をしていないという証明をして欲しい」と依頼に来た。仁木と安梨沙は彼女を尾行し、依頼された仕事をした。仕事の途中、仁木達は依頼人の不審な点に気づく…。

『中庭のアリス』 紫色に髪を染めた老婦人が依頼に来た。依頼内容は、いなくなった犬を探して欲しいというものである。だが、仁木は老婦人の姪の娘から、犬は元からいないという話を聞いた。何はともあれ、捜索を始める仁木だが…。

『地下室のアリス』 今度の依頼人は昔勤めていた会社の地下駐車場の事務員の山端。誰もいない書庫で鳴る電話の正体を突き止めて欲しいというものだ。その電話には、山端の意思が大きく関わっていた…。

『最上階のアリス』 高層マンションの最上階に住む依頼人・真栄田の元に訪れた仁木と安梨沙。依頼人は仁木の大学時代の先輩である。依頼内容は、妻が何故頻繁に買い物に行かせるのか調べて欲しい、というものであった。仁木達は調査を続けるうちに、恐ろしいことに気づく…。

『子供部屋のアリス』 産婦人科医の青山に、赤ん坊のお守りを依頼された。仁木と安梨沙は難儀しつつもお守りを続けるが、二人は気にしていることがあった。それは、この子供の親だ。青山は、これは自分の子ではないと言った。では、誰の子なのか…?

『アリスのいない部屋』 安梨沙から、しばらく休むとの電話がかかってきた。それから三日後、仁木の元に安梨沙の父と名乗る人物が乗り込んできた。だが、彼は…。




 全体的に、論理よりも、人の内面を描く事を重視した作品群でした。全体的に読み易かったです。
 『螺旋階段のアリス』は連作の初回らしく、主人公が今どのような状況なのかという描写が多かったです。後半の事件は、展開部こそ凡庸なものの、結びでほんのりとした気分になれました、
 『裏窓のアリス』推理小説らしい推理小説で、希代な依頼内容を、どう締めくくるのかと思えば…。
 『中庭のアリス』中々複雑な気分にする話です。マダム・バイオレットのような人、本当にいてもおかしくありませんね(あそこまで極端ではないにしても…)。
 『地下室のアリス』人情を的確に描いた小説でした。
 『最上階のアリス』が一番のお勧めです。恐ろしい話だ、と思わせたところで切なく転換している作者の腕に心打たれました。
 『子供部屋のアリス』安梨沙と仁木は依頼を破ってまで子供の素性を暴きたいのか。展開にかなり無理があるような気がしました。結末は意外なのに、これではね…。
 『アリスのいない部屋』王道を突っ走っている小説ですが、それなりに面白かったです。自分は人形(または玩具)じゃない! 誰もが安梨沙と同じ感情を抱いたことがあるのではないでしょうか。

評価:A
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2011年11月24日

孤島パズル

 有栖川有栖さんの長編推理小説です。

あらすじ
 僕・有栖川有栖は推理小説研究会に所属している法学部二回生。僕と部長の江神二郎は有馬麻里亜に誘われ、南海の孤島・嘉敷島へ宝探しに出かけることになった。だが、そこで密室殺人事件に出会う。更に、本土との通信手段の無線機も壊された。島に閉じ込められた僕たちに襲いかかる数々の恐怖。そして、第二の事件が…。




 学生アリスシリーズ第二作です。有栖川さんの特徴がよく現れた作品でした。ミステリには珍しくキャラクターに重点をおいているところ、読みやすい文章、そして秀逸な謎。
 本作は感情よりもややロジック寄りで、物語の重みに欠けた気もします。孤島ものにしては緊迫感が薄い…。
 謎解きは、殺人の方は平凡でしたが、宝探しの方にはあっと言わされました。
 傑作だとは言うほどではありませんが、まあよくできた作品だと思います。

評価:B
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2011年11月22日

放課後はミステリーとともに

 東川篤哉さんの短編集です。収録作品は『霧ケ峰涼の屈辱』『霧ケ峰涼の逆襲』『霧ケ峰涼と見えない毒』『霧ケ峰涼とエックスの悲劇』『霧ケ峰涼の放課後』『霧ケ峰涼の屋上密室』『霧ケ峰涼の絶叫』『霧ケ峰涼の二度目の屈辱』です。

あらすじ
『霧ケ峰涼の屈辱』 恋ケ窪にある鯉ケ窪学園に通う僕・霧ケ峰涼。僕が副部長を務める探偵部には顧問がいない。僕は生物の石崎先生に顧問を頼む為に生物教室があるE館に入った。ところが、ふと覗いてみた視聴覚資料室で泥棒に遭遇し、突き飛ばされてしまった。近くにいた人達とともに追いかけ外に逃がしてしまうが、外にいた人は誰も出てこなかった、と証言する。泥棒は何処に消えたのか…?

『霧ケ峰涼の逆襲』 僕は学校の帰り道、白い仔猫を見つけた。猫を追いかけて廃屋に入ったところ、若手俳優・安藤タケルのデート現場を押さえようとする、藤瀬正一という芸能カメラマンがいた。彼とともに彼の恋人と思しき水原真由美の家を見ていると、二人組の人物が彼女の家に入り、病気で倒れた水原真由美を運び出していった。だが、水原は…。

『霧ケ峰涼と見えない毒』 僕は友人の高林奈緒子に頼まれ、彼女の居候先の老人・門倉新之助の命を狙う者が誰か、捜査をする。捜査もむなしく、新之助は毒を飲まされて死にかけた。彼を狙ったのは誰なのか?

『霧ケ峰涼とエックスの悲劇』 僕たちは地学の池上冬子先生を中心に、流星雨の観察会を行う。そんな中、先生が空に謎の発光体を見つけ、UFOだと言って僕と二人で追いかけ始める。UFOを見失った地点で僕たちは、近くの畑に奇妙なものを見つけた。畑の中に首を絞められて倒れている女性がいるのだ。奇妙な事に、その畑には彼女以外の足跡は無かった…。

『霧ケ峰涼の放課後』 僕と奈緒子は体育倉庫から煙が出ているのを見つけ、火事か不良の煙草かと覗きに行く。体育倉庫の中には学園でも有名な不良・荒木田聡史がいた。彼と話していると先生がやってきて、彼が煙草を吸っているのではないか、と疑い始める。だが、結局煙草は見つからなかった。不思議な事に、彼が隠した場所を僕は覗いたのにそこには何も無かったのだ。彼は僕が見つけたのに黙っていたのだと勘違いし、僕にハンバーガーを奢る…。彼の煙草は何処に行ったのか?

『霧ケ峰涼の屋上密室』 僕は野田英子先生とともに校門を出ようとしていた。そんな時、上から女子生徒が降ってきたのだ。彼女は英子先生に直撃してしまった。屋上から落ちてきたと思われるが、そのとき屋上は密室状態になっていたのだ…。

『霧ケ峰涼の絶叫』 陸上部長・足立俊介が砂場で倒れているーー宮下綾乃から連絡を受けた。僕は彼を保健室に運ぶ為に砂場に行く。砂場で僕は奇妙なことに気づく。砂場には足立俊介と、発見者の綾乃ちゃんの足跡しか残されていないのだ…。

『霧ケ峰涼の二度目の屈辱』 E館の美術室で荒木田聡史が殴られた。殴った犯人が逃げたのを僕は追いかけたが、見失ってしまった。そのとき、E館はまたしても密室状態になっていたのだ!




 文句を言いながらも、なんやかんやで東川さんの本を読んでしまいます。東川さんには珍しく短編集です。この短編集の特徴は、密室ものが多いことですかね。八編中六編が密室ものです。
 『霧ケ峰涼の屈辱』はオーソドックスなタイプ。普通の本格ものにユーモアを加えた程度で、可もなく不可もなく、と言ったところです。
 『霧ケ峰涼の逆襲』は、物語に熱中するというよりも、カメラマンに見張られている俳優さんが可哀想でなりませんでした。
 『霧ケ峰涼と見えない毒』もオーソドックス。コメディとミステリが見事に調和していて、違和感がありませんでした。悪く言えば、新鮮みも薄いっていうことなんですけどね。
 『霧ケ峰涼とエックスの悲劇』この短編集の中では一番のおすすめ。最初に提示される謎に魅了されますし、トリックも独創的です。ギャグもこの本の中では一番。
 『霧ケ峰涼の放課後』謎は面白いけど、トリックがしょうもない…。ギャグはそれなりに。
 『霧ケ峰涼の屋上密室』事件にびっくりしましたが、これも真相は平凡ですな。
 『霧ケ峰涼の絶叫』人物のアクが強すぎて、物語が薄くなっている気がします。
 『霧ケ峰涼の二度目の屈辱』一話目と殆ど一緒。人物やトリックが変わっただけで、退屈でした。

評価:C
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2011年11月21日

暗闇の囁き

 綾辻行人さんの長編推理小説です。

あらすじ
 悠木拓也は烏裂野にある伯父の別荘に、卒論を書くために滞在することになった。そこで出会ったのは同じく山奥の屋敷に住む人々。東京から時折帰ってくる亭主・円城寺隼雄、過去の事件で唖となってしまった彼の妻・香澄、お手伝いの佐竹夫婦、隼雄の妹・雅代、隼雄の母・ハツ子、家庭教師・滝川遙佳、そして二人の「奇麗な」少年・麻堵と実矢。彼らの他、もう一人、「あっちゃん」と呼ばれる少年がいるようだが…?
 謎めいた屋敷の住人達の周りで起こる数々の事件。その周囲に漂う謎の影。その正体とは…?




 これまで読んだ綾辻さんの作品の中では一番好きです。
 魅力的な謎があり、ミステリとして申し分なく、少年達をはじめとする人物の心情表現も怠っていません。更には社会の風潮への抵抗が物語の合間から見え隠れし、すばらしい作品に出来上がっています。物語の主題が影響してか、ホラーに近い作品です。読んでいて紙をめくる手が止まりませんでした。

評価:AA
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2011年11月18日

ダブル・ジョーカー

 柳広司さんの短編集です。収録作品は『ダブル・ジョーカー』『蠅の王』『仏印作戦』『柩』『ブラックバード』です。

あらすじ
『ダブル・ジョーカー』 結城中佐が設立したスパイ養成機関・D機関に不満を持つ人物がいたことにより、その対抗機関・風機関が設立される。D機関の追い落としを謀る風機関だが…。

『蠅の王』 脇坂衛は陸軍軍医でありながら敵軍に情報を流すスパイである。藤木藤丸という漫才コンビが前線の現地舞台に慰安公演に来た。丁度その頃、スパイ狩りが行われているという連絡をスパイ・マスターから受けた。スパイ狩りの実態とは…?

『仏印作戦』 フランス領インドシナ連邦に送られた高林正人。彼に与えられた任務は通信文を暗号化し、それを本国へ送るというものである。仕事に慣れてきた頃、夜道で暴漢に殴られたが…。

『柩』 鉄道事故のどさくさに紛れて、盗みを働いた男がいた。彼が盗んだのはスパイ用品。持ち主は真木克彦という日本人であった。ヘルマン・ヴォルフ大佐は真木がスパイかどうか確かめるため行動を起こすが…。

『ブラックバード』 バードウォッチング中にスパイ容疑で警察に捕まった仲根晋吾。彼は拷問の後、地元の名士で彼の舅・マイケル・クーパーの手によって警察から解放されたが、彼は…。




 『ジョーカー・ゲーム』と同じシリーズです。前作よりも面白い作品が多かったように思えました。
 表題作『ダブル・ジョーカー』の締めくくり方は中々秀逸です。ただスパイの活躍に終わらせないという所でパターンを破り、短編集に変化をつけています。
 『蠅の王』。前座のように思える馬鹿話に重要な言葉が含まれていました。このような手法は東川篤哉さんがよく使っていますね。
 『仏印作戦』が本短編集の中で一番のお気に入りです。スパイの視点から見たものではありませんので、人々がスパイに翻弄されているというのがよく分かります。
 『柩』は少し変わった作品で、もう死んだスパイについてどうこう言う話です。友好国に派遣されるスパイというのが新鮮でした。
 『ブラックバード』は最初の文に仕掛けがあるのですね。すっかり騙されました。

評価:B
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サイクリング

 久々の日記記事です。小説の感想以外について書くのは、十一月になってから初めてですね。

 最近、毎週末にサイクリングを楽しんでいます。先々週など、調子に乗って行きすぎて、道に迷ってしまいました。その日は山の中で黄昏れ時を迎えて、怖い思いをしました。気がついたら遠い所にいた、というのが毎回です。でも、風を切って走る快さが、またサイクリングに行きたいな、と思わせます。
posted by みさと at 21:10| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月15日

密閉教室

 法月綸太郎さんの長編推理小説です。

あらすじ
 早朝、梶川笙子は7Rの教室で、高校生・中町圭介が死んでいるのを発見した。その教室は密室状態にあり、奇妙な事に48組の机と椅子が全て消えていたのだ。級友・工藤純也は森警部をはじめとする警察と協力し、事件の謎に挑むが…。




 面白かったの一言に尽きます。
 インタルードの最後の方の、犯人を追いつめるシーンは非常に驚きました。同時に、痛快に思った事も覚えております。
 主人公だけが推理を振り回すわけではない、という点も好感。何段落ちになっているかは分かりませんが、一つの事件からよくもまあ、こんなに沢山の推理がでるものだ、と感心しました。
 本格ものだからといって、人物の感情描写も怠っていません。犬塚や吉沢を哀れに思った他、読んでいる最中、感情移入で涙が出そうにところも多々ありました。

評価:A
posted by みさと at 21:52| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(法月綸太郎) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月12日

邪馬台国はどこですか?

 鯨統一郎さんの短編集です。収録作品は『悟りを開いたのはいつですか?』『邪馬台国はどこですか?』『聖徳太子は誰ですか?』『謀叛の動機はなんですか?』『維新が起きたのはなぜですか?』『奇跡はどのようになされたのですか?』です。

あらすじ
『悟りを開いたのはいつですか?』 バー・スリーバレーに揃った三人の常連客。文学部教授・三谷敦彦と助手の早乙女静香、そしてライターの宮田六郎。宮田の「ブッダは悟りを開いていない」という言葉で、宮田と静香のブッダ論争が始まった…。

『邪馬台国はどこですか?』 初めて会ってからまだ二回目だというのに、静香と宮田がまた議論を始めた。テーマは邪馬台国。今日も宮田の頭が冴える…!

『聖徳太子は誰ですか?』 前二回と同じく、二人が論争を始めた。テーマは聖徳太子。聖徳太子、蘇我馬子は実在するのか?

『謀叛の動機はなんですか?』 例の三人組が集まって、また討論を始めた。今度のテーマは本能寺の変の黒幕について。宮田六郎が信長に関する奇説を披露する。

『維新が起きたのはなぜですか?』 恒例となってきた静香と宮田の歴史論争。バーテンダーの松永は毎度それを楽しみにしている。今日のお題は、明治維新について。一体どんな謎なのか…?

『奇跡はどのようになされたのですか?』 いつも通り、三人が集まって始めた議論の題は「復活したキリスト」。宮田は復活にはトリックが使われたと言うが…?




 どれも面白いのですが話の流れがワンパターンで、あらすじの文章を考えるのに苦労しました。感想も個別に書くと全て似たような文章になるので、まとめて書きます。
 奇妙な意見を連発する宮田六郎。どちらかというと保守的な早乙女静香。読者と同じ立場に立つ松永。いまいち存在感がない三谷敦彦。殆どが前二者の会話で話が進みます。松永は視点となる人物なので、ある程度書かれています。三谷教授は時々思い出されたかのように台詞を言うだけで、存在感がありません。もう少し彼の影を濃くしてやっても良いのでは、と思いました。
 主題・宮田の珍説は拝読の価値があります。嘘かまことか私には分かりませんが、読んでいて本当に面白かったです。特に秀逸なのは『聖徳太子は誰ですか?』。先が気になったので、休み時間を費やしてまで読みました。

評価:B
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2011年11月09日

絶叫城殺人事件

 有栖川有栖さんの短編集です。収録作品は『黒鳥亭殺人事件』『壺中庵殺人事件』『月宮殿殺人事件』『雪華楼殺人事件』『紅雨荘殺人事件』『絶叫城殺人事件』です。

あらすじ
『黒鳥亭殺人事件』 私・有栖川有栖の友人・天農仁が娘と住む黒鳥亭の井戸から死体が発見された。その死体は昔自殺したはずの並木将人であった。

『壺中庵殺人事件』 壺中庵と呼ばれる館の地下室で、主人・壺内刀麻が殺された。密室の中での殺人だった。臨床犯罪学者・火村英生と作家の私・有栖川有栖は密室の謎に挑戦する。

『月宮殿殺人事件』 ホームレスがガラクタを集めて建てた「月宮殿」と呼ばれる豪邸。そこが焼かれ、ホームレスは家と運命をともにした。月宮殿にはある秘密があった…。

『雪華楼殺人事件』 建設中のビルで、最上涼という男が転落死した。自殺にしては不審な点が多く、警察は他殺とみて捜査するが…。

『紅雨荘殺人事件』 映画で使われた紅雨荘と呼ばれる館。そこの女主人で化粧品会社の元社長・飯島粧子が自殺であるかのように殺された。容疑者達には不可解な点はあるものの、アリバイがあった…。

『絶叫城殺人事件』 絶叫城というゲームに模されて連続殺人が起きた。四人目の被害者は、これまでの被害者が持つ特徴を持っていなかったが…。




 さて、これも再読の作品です。
 『黒鳥亭殺人事件』はこれまで読んだアリスさんの短編の中でも、結構気に入っている方です。皆が親しみ易い童話を用いています。結末がブラックなところも私好みです。
 『壺中庵殺人事件』オーソドックスな密室もの。壺を被って殺されるという、非常に興味深い謎が出てきます。犯人の非情さは印象に残ります。
 『月宮殿殺人事件』中々面白いシチュエーションでの物語です。謎の解決は知識を問うだけのものとは言え、目から鱗です。
 『雪華楼殺人事件』これは非現実的な結末ですが、運命の悪戯が悲しみを誘います。
 『紅雨荘殺人事件』証明された筈のアリバイを否定する容疑者…。魅力的な謎です。
 『絶叫城殺人事件』この作品も気に入っています。ゲームと犯罪の関係ってあるのでしょうかね? 本当はどうなのか気になります。

評価:B
posted by みさと at 22:42| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(有栖川有栖) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする