2018年05月19日

4月30日 元越谷 久々の沢登り

 たまには山の記録でも。去年の夏に膝を怪我して以来、あまり山に行けない日々(沢には全く)を送っていたのですが、4月30日に久々の沢登りに行ってきました。久々に行くととても楽しく、膝を怪我して以来一番テンションの上がった1日であった気がします。

 CLを務めたので、ワンゲルブログも私が書いたので、転載しておきます。詳しくは↓を参照です。

http://kuwv.seesaa.net/article/459121996.html
posted by みさと at 19:17| 奈良 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月17日

死国

 坂東眞砂子さんの小説です。

あらすじ
 明神比奈子は20年ぶりに故郷の高知・矢狗村を訪れる。幼馴染の莎代里が18年前に事故死をしていたことを知り、衝撃を受けるが、さらにその母親の照子が彼女を黄泉の国から呼び戻そうと、四国八十八箇所を逆に回る「逆うち」をしていることに気づき、さらに愕然とする……。




 坂東眞砂子さんといえば、「伝奇」「民俗」「土俗的感性」などの文句にひかれ、小学生か中学生の頃に手にとったことがあります。『屍の声』だったかな。性に目覚めるか目覚めないかのその当時、そこに描写されている強烈な性の描写に衝撃を受けた記憶。最後まで読みきれなかったような気がします。
 そのころと比べると、私も(多分)大人になり、受け入れられるようになってきました。伝奇ものや民俗と「性」はかなり相性の良いというか、切り離せないもので、てらいなく強烈な性の描写を入れてくる坂東眞砂子さんの作風は、伝奇小説に素晴らしくあっていると思います。
 あらすじ自体はどこかにありそうな内容でしたが、一気に読めるくらい楽しめました。『屍の声』を再読したり、直木賞を受賞した『山妣』を読んだりもしてみたいな、と思います。


メモ的に、感想をまだ書いていない本のリスト
谷崎  『細雪』
ベルク 『日本の風景 西欧の景観』
フロム 『愛するということ』
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地名の研究

 柳田國男さんの地名にまつわる論文をまとめてある本です。地名の形成の仕方や、具体的に色々な地名がいかにして成り立っているのかが書かれています。利用地名、占有地名、分割地名の概念をはじめ、地名を考える上で必要な基礎的な事柄、また具体的な地名の成り立ちの考察などが書かれています。
 地名はそれぞれ独自性の強いもので、その地を調べるならばその地を入念に検討しないといけない、という念が頭にありましたが、当然色々な土地に共通の地名はあるわけで、、、。たくさん採集して比較検討しなければならない分野です。この本一冊を読むだけでたくさんの事例は頭に入ってくるので、地名を考えていきたい人には必読の本ではないでしょうか。
 柳田さんですが、地理学っぽい話、地理学の雑誌で発表した話が多いです。地域研究って民俗学、地理学、農村社会学など色々わかれていますが、結構重複するところも多いなー、と。


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2018年05月02日

恋愛小説を愉しむ

 著者は木原武一さんです。ダンテやトルストイ、シェイクスピアなど、西洋の名著を引用しながら恋愛を考えていくという内容です。
 人が人生で経験できる恋愛は限られています。小説を読むことで、このような恋もあるのか、と思ったり、自らを重ね合わせて身を焦がしたりして、恋愛について自らの経験以上に知ることができるでしょう。
 この本は学問的に恋愛を考察する、というものではありませんが、名著のエッセンスがたくさん引かれています。実際の経験も、恋愛を主題にした小説を読むことも少ない私ですが、多少恋愛についての認識が深まった気がします。これまで西洋の名作を読むことがほとんどなかったのですが、惹かれたお話も多いので、これを機に読んでみるのも良いかなーと思ったり。
 読書感想ためてしまっています、、、。まとめていかないと。
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2018年03月16日

乳と卵

 川上未映子さんの小説です。ふと本棚にあるのを見つけて読みました。関西弁の口語体の文章で、豊胸手術をしようとする母親と、母親に対して口をきかなくなった思春期の少女を描いています。
 関西弁の文章は文としては破綻しているところもありますが、不思議と読みやすく引き込まれます。
 同時に収録されている『あなたたちの恋愛は瀕死』はたまたま不幸な形で出会う男女の模様が描かれています。個人的には、こちらの方が好みかな。
posted by みさと at 16:39| 奈良 ☔| Comment(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

日本の愛国心

 佐伯啓思さんの本です。私の所属する学部の退官された教授さんの書いた本ということで読みました。
 「愛国」は近年力を増している論調であるように思えます。同時に、その反動のようなものも蠢いております。
 しかし、この「愛国」を唱える保守も、「愛国」を警戒する革新も、図式化された中、それ自体の理念というよりも対するものへのアンチテーゼとして存在しているような傾向があります。
 「保守」や「革新」がもともとの意味を考えると混乱した形で図式化されている(GHQ体制や安保体制の関係を考えればわかりやすいでしょう)ことは、それなりに理解し、考えていたつもりでありましたが、佐伯さんは第二次世界大戦の敗北を考究することでこの問題を深めています。「負い目を持つ日本の愛国心」という言葉にこのことは象徴されています。

 「愛国」の対象となる「国」とは何なのか?
 というのは、高校時代からずっと疑問に思っていたこと。ネイション=国民、市民社会なのか? 国家の統治機構なのか? 民族なのか? 「故郷」なのか?
 私が昔から浅はかな知識なりに考えていたことを、深く深く掘り下げてくれたような感じがします。私は愛郷心・「故郷」と愛国心・国家を厳格に区別し、想像の共同体としての国家というものへの信奉を批判していましたが、ある程度のところで結びついているということも気づかされました。
 国民国家における「ナショナリズム」の位置付けを整理できたのもよかったです。

 終盤の日本思想のところには、知識が浅く、なんとなくの理解しかできていない気がするのが心残り…。

 ナショナリズム、愛国心は安直な感情論に行き着きがちですが、この本のようなきちんとした論考を一冊読むことは、この問題を考えていく上で必要なことだと思います。
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2018年03月14日

檸檬

 梶井基次郎さんの短編集です。『檸檬』『城のある町にて』『泥濘』『路上』『橡の花』『過去』『雪後』『ある心の風景』『Kの昇天』『冬の日』『桜の樹の下には』『器楽的幻覚』『蒼穹』『筧の話』『冬の蠅』『ある崖上の感情』『愛撫』『闇の絵巻』『交尾』『呑気な患者』が収録されています。

 全体として鬱々とした雰囲気の話が多く、隙間時間に読もうとしてもなかなか読み進まなかった記憶があります。それで『泥濘』〜『ある心の風景』くらいがあまり入り込めずに、頭に残らず…。しっかりと本を読むための時間をとった部分は、印象に残った作品が多い気がします。暗い話は自分の気持ちも暗いときに読めばいいのか、明るいときに読めばいいのかって、結構難しい問題な気がします。

表題作『檸檬』は有名な小説ですが、読むのは初めて。京都丸善に行ったことを契機に読み始めました。鬱々とした生活の中の一事件が、様々な感覚描写を通じて鮮やかに描き出されています。沈みがちの心のモノトーンの上であるからこそ、鮮やかな描写が極めて美しく現れているように思います。鮮やかな黄色、ぎゅっと詰まった形、そのままでもほのかに酸い香り、ひんやりとした手触り…。檸檬一つが、これほどまで魅力的に思えてくるのも不思議な感じです。
 檸檬以外についても、寺町の明かりや花火、びいどろの味など、この作品は秀逸な五感の描写に彩られています。世界には、こんなに感覚が満ちているのか、と驚きを感じました。私は、生活していく中で様々な感覚をどこかで感じているはずなのに、魚が網をすり抜けるようにそれらを見逃している感じがします。
 『檸檬』の次には、『桜の樹の下には』が印象に残りました。「桜の樹の下には、屍体が埋まっている!」という印象的な冒頭から始まる掌編。どこかで聞いたことのあるフレーズだな、と思えば、恩田陸『図書室の海』に収録されている『睡蓮』に引用されていました。この先品では、生と死を憂鬱とグロテスクの中で結びつけています。生(特に生殖)というのは、生々しい気持ち悪さを備えているものでありますし、死も(「無」と結びつけられがちであるものの)実際のそれは、腐乱し蛆が湧き、おぞましいものであります。また、気持ち悪さという点で結びついているというだけでなく、「生」は「死」の裏返しであるという点も、この小説において重要な要素であると思います。
 花というものは、一見可憐に見えますが、それは言ってしまえば生殖器であり、よく見れば気味の悪さを感じさせるもの。そのような、なんとも言えない気味の悪さを、この小説はうまく表している気がします。
 上二編以外にも、秀作揃いの良い短編集です。お薦めは、『冬の蠅』『ある崖上の感情』『闇の絵巻』です。憂鬱な感覚で捉えられる情景の描写が、とても素晴らしいです。
posted by みさと at 18:39| 奈良 ☀| Comment(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月19日

「かわいい」論

 四方田犬彦さんの本です。世間で氾濫する「かわいい」について、様々な観点から考察している本です。何かあればすぐに「かわいい」という言葉が飛び出る今のご時世。
 私自身、何かを「かわいい」という感覚がかなり遅くまで(高校時代まで?)なく、割と今でも「こういうものが世間でかわいいと言われるのだろう」という念をどこかで持ちながら「(あれって)かわいいね」などと言っています。ぬいぐるみや動物、赤ちゃんをかわいいと思う気持ちは、どこか相対視する気持ちがあるものの生じて来ました。どうも冷めてはいるのですが、トトロをカバンに吊したり、部屋にぬいぐるみを少し置いたりしています。
 しかし、女性をかわいいという気持ちは今でもよくわからないよく友人達が女の子をさして「あの子可愛いよな」といいますが、僕は女の子がかわいいというのがわからないまま。適当にうなずいたり首をかしげたりしています。自分の恋人ですら、愛おしいとこそ思え、かわいいという感覚はあまりわからないです。

「かわいい」という感情には、未成熟、弱い、小さいものを慈しむという、ある意味上から下を見下す政治性を帯びているということが書かれていました。男性が女性に対して「かわいい」と思う気持ちには、身長差による眼差しが影響しているのだということもあると言います。私が女性に対して「かわいい」と思う気持ちがあまり生じないのは、女性に対して、対等か自分が下に位置するような関係を築いてきたからかもしれないな、と思ったり。

 「かわいい」がグロテスクと深く結びついているというのも、面白い指摘でした。赤ちゃんやぬいぐるみなどの特徴を考える。大きな目や小さな頭身。確かに、身体的な不均衡、逸脱は、可愛いの要素であります。しかし、これを認識することは、「かわいい」を祀る現代人にとって、とても残酷なことのような気がします。自分の中で納得はしますが、社会の上ではある意味タブーであると思います。

 「かわいい」について考えること。社会でみんなが信じていることの虚構(と言っては言い過ぎではありますが)を暴くことであります。もっと深い論を考えてみたいと同時に、それが恐ろしくもあります。
posted by みさと at 19:20| 奈良 | Comment(0) | 読書(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月14日

砂場の少年

 灰谷健次郎さんの小説です。

あらすじ
 元テレビディレクターで有機農場に務めていた葛原順は、教師をしていた妻・透子が精神を病んで休職したのを機に、自らも臨採で中学校教師となった。生徒個人個人と向き合わず、定められた規則や画一的な授業に拘泥する教師たちがいる一方で、葛原は「反抗的」とされる子ども達に輝くものを見出していく…。




 『子どもの隣り』を読んで以来、灰谷さんの小説に魅せられています。教育のあり方を問い直すというのが物語を通じて強いテーマとして設定されており、それに沿ったストーリーが展開されています。そう長い小説ではないわりに、たくさんの登場人物が出てきており、人物によって目立ち具合に差はありますが、それぞれ個性的に描かれています。
 読んでいると、自分自身の中高生活を思い出しました。もちろん時代も違いますし、この本ほど極端な管理教育はありませんでしたが。しかし、それでも先生の態度の中にはこの小説にかぶるものもあったりして、ちょっと苦い気持ちになったり。僕自身、人の期待するように行動する性向があり、割と先生に従順な態度をとっていました。嫌だとは言いながらも、試験や受験で良い成績を取ろうとしていたなぁ。この小説の生徒達のような、反骨精神・自立精神をもっと持ちたいものであります。西文平くんに憧れます。


 個人的には、教訓的要素が強すぎて、ややくどい印象を受け、『子どもの隣り』の方がお気に入りですが、なかなかに良いお話でした。
posted by みさと at 13:05| 奈良 ☀| Comment(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月05日

ユタとふしぎな仲間たち

 三浦哲郎さんによる児童文学です。

あらすじ
 父の死とともに、東京から母の実家である湯ノ花村に居を移した勇太。彼は村の子供達から、東京のもやしっ子と言われ、なかなか馴染めなかったが、ふとしたことから、座敷わらし達と出会う。彼らとの交友の中で、勇太はたくましさを手に入れていく…




 高度経済成長期?の寒村を舞台にしたお話。正統派な成長譚といった感じですが、日本の寒村、またそこにある民話の世界をモチーフにしたのが特徴です。
 時に失礼なこともする勇太に対して、座敷わらしたちがものすごく優しいのが印象的。人間たちの方がよそ者の勇太に厳しいというのが皮肉な感じです。
 お話の構成も、舞台設定も、極めて完成度の高い児童文学だと思います。
posted by みさと at 15:23| 奈良 ☀| Comment(0) | 読書(その他の著者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする